民主党のイメージ戦略を請け負った謎のPR会社フライシュマン・ヒラード・ジャパンはどこに消えたのか?
|
FHJ社のHPは健在であった.見えなかったのは私のPCだけだったようだ.つまり,上記の記事はテキスト的には完全な誤報ないし虚報である.関係各位には深く陳謝申し上げる.しかし,私のPCからアクセスできない状態になっていたことだけは100%確かな動かしようのない事実である.原因は今のところ不明である.当ブログに対する何らかの妨害工作と考えられるが,意図がよく分からない.もし,そんなことがなければ私はこの記事をそもそも書いていないはずであるから,却ってヤブヘビになっているような気がする.いずれにしても,ここが「彼ら」の(突かれると)かなり痛いポイントであるということは分かった.

フライシュマン・ヒラード・ジャパンは周知のように民主党の選挙キャンペーンをサポートしてきた米国系のPR会社(Public Relation Company)である.前回の選挙では「日本をあきらめない」というかなり評判の悪いキャッチコピーを編み出し,選挙前には政権交代も有り得ると予想された2005年衆院選挙で「民主党の予想外の大敗北」を演出したことで知られる.民主党はつい最近,FHJ社との契約関係を解消した.以下の記事とその日付に注目されたい.
民主党 米PR会社とのコンサル契約打ち切り
FujiSankei Business i. 2006/4/8 TrackBack( 1 )
■代表選、党職員らで仕切り
民主党が、米国系PR会社「フライシュマンヒラードジャパン」(東京都中央区)との間で結んでいた、政党イメージや選挙のコンサルティングに関する契約を打ち切っていたことが七日、分かった。昨年夏の総選挙での敗北が直接の原因。七日に実施された代表選でのメディア戦略などは、外部の専門家を入れずに、党スタッフ中心で仕切られた。
二〇〇三年に結ばれた、民主党とフライシュマン社の契約は、日本の政治にPR会社が本格参入する先駆けとなった。単発の選挙の敗北を理由に契約を打ち切った民主党の決断は、日本の政治風土と、PR会社の関係を考える上で議論を呼びそうだ。
フライシュマン社のアメリカにあるグループ会社は、二〇〇〇年の米大統領選で現ブッシュ大統領のイメージ戦略を担当したことで知られている。
日本では、徹底した世論調査や、新聞・テレビニュースでの民主党の扱われ方などを調べ上げ、今後の展開を提案するなど、党のイメージ戦略に大きな影響を与えてきた。民主党が主導権を持って実現した選挙へのマニフェスト導入にも力を発揮してきた。コンサルティング料は、年間一億円以上だった。
そこでの活躍は、自民党が二〇〇五年にPR会社「プラップジャパン」(東京都渋谷区)とコンサルタント契約を結ぶきっかけになったとされる。
だが昨年九月の総選挙で「ニッポンをあきらめない」をコピーにした民主党は、「改革を止めるな」を訴えた自民党に惨敗。党内で「日本の選挙ではPR会社に任せても票は取れない」といった議論がわき出て、契約を打ち切ったようだ。
民主党では「最低限の運営は、PR会社などに頼む場合もあるが、現在はどことも契約していない」と話している。
今回の打ち切りについて自民党の広報担当は、「代表選でのメディア戦略が控えめだったのが印象的だった。小沢さんはもともとメディア嫌い。民主党はPR戦略を重視しない党になる可能性がある」とみている。
FHJ社は民主党がわざと負けるようなイメージ戦略を立てていたのではないか?と疑わせるさまざまな状況証拠がある.「ニッポンをあきらめない」という否定形を使ったネガティブなコピーもその一つであるが,TV広告で使われた岡田民主党首の登場するビデオは映像心理学を逆用した最悪のものであったとの評価がある.以下のリンクを参照されたい.
http://www.asyura2.com/0505/hihyo1/msg/244.html
http://www.asyura2.com/0505/hihyo1/msg/287.html
http://www.asyura2.com/0505/hihyo1/msg/253.html
選挙キャンペーンを請け負ったPR会社がクライアントの政党の敗北を狙った工作を行なうなどということはにわかには信じられないかもしれない.しかし,8月2日前後の首相動静をチェックすると思いがけない事実が明らかになる.参考リンク:ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報(2005年8月),行政調査新聞:衆院総選挙 小泉は圧勝するか?,BBDOもFHJもオムニコム系列=アレン・ローゼンシャイン(8/2首相と会談),Japan Times Jobs:広告業界
■2005年8月2日首相動静
【午前】7時41分、公邸発。42分、官邸着、執務室。45分から8時5分、山崎正昭官房副長官。25分、官邸発。27分、国会着、院内大臣室。33分から44分、閣議。56分、参院第1委員会室。9時、参院郵政民営化特別委開会。【午後】0時1分、同特別委休憩。3分、国会発。5分、公邸着。8分、公邸発。9分、官邸着、執務室。56分、官邸発。57分、国会着、衆院議長応接室。1時、衆院本会議場。2分、衆院本会議開会。8分、衆院本会議を途中退席し、参院第1委員会室。15分、参院郵政民営化特別委再開。5時23分、同特別委散会。26分、自民党参院議員会長室で青木幹雄参院議員会長。30分、片山虎之助参院幹事長が加わる。38分、公明党参院役員室を経て国会発。40分、官邸着、執務室。52分から6時3分、特別応接室で米広告大手BBDOワールドワイド社のアレン・ローゼンシャイン会長ら。9分から35分、執務室で中川昭一経済産業相。49分から55分、閣僚懇話室前で報道各社のインタビュー。56分、官邸発。57分、公邸着。
■2005年8月8日 参議院本会議郵政民営化法案否決:衆議院解散(公示まで22日間)
■2005年8月15日 小泉首相靖国神社参拝を回避
■2005年8月22日 ロイターが欧州の大手金融機関のファンドマネージャーを使って「小泉首相続投」の予測を公表.「小泉首相が続投しない場合には日本市場への悪影響が出る」と牽制.フジTV系の番組『報道2001』では世論調査結果が「小泉支持63・3%」という最高水準に達したと報道.これを受けてマスコミ各社は,「小泉圧勝.自民党だけで単独過半数を越える大勝」といった観測を出すに至る.小泉圧勝の雰囲気が全メディアの共通認識になる.
■2005年8月30日 衆議院総選挙公示
■2005年8月31日 ブッシュ大統領より小泉首相へメッセージ「小泉首相の郵政民営化を支持する。解散して総選挙に打って出た首相の英断を尊敬する。9・11という日に総選挙の勝利を目指す小泉首相を全面的に支援する。」
■2005年9月11日 衆議院総選挙投票:自公圧勝2/3の安定過半数を獲得
■2005年9月21日 第163回特別国会召集
■2005年10月11日 衆議院本会議郵政関連法案を二百票の大差で可決・参院に送付
■2005年10月14日 参議院本会議郵政関連法案を(ほぼ)無修正で可決・成立
■2005年11月16日 日米首脳会談,ブッシュは米軍基地からへりで京都迎賓館へ
自民党の選挙コンサルタントを請け負ったプラップ・ジャパンは国内のPR会社であるが,これは表向きのことで実質的にはBBDO社が仕切っていたことは間違いない.(仕切っていたと言っても自民党がBBDO社を雇っていたという類の関係ではない.資金の流れを考えればこのことは理解できる.メディア工作資金はアメリカから日本に流入したのであって,その逆ではない.)BBDO会長のアレン・ローゼンシャイン会長は同時に世界最大の広告会社オムニコム・グループの会長でもある.しかも,このオムニコム・グループは民主党の選挙キャンペーンを請け負ったフライシュマン・ヒラード・ジャパンを所有している.このことはFHJ社のホームページにも明記されていたはずだ

幸いI&SBBDO社(BBDOとI&Sが資本提携して作った会社,I&S=第一企画+セゾングループのSBNが合併)のHPにはこれに関する記述がある.「BBDOとOmnicomについて」というページを下にたどって行くと,Public Relations/Public Affairsという項目の先頭に・Fleishman-Hillardという名前が見える.何という単純なストーリーだろう.ローゼンシャインこそはまさしくあの「小泉劇場」と呼ばれた大興行の「小屋主」であり,プロデューサ兼ディレクタであった.小泉首相などは言ってみれば彼に買われた異色男優というところであろう.アレン・ローゼンシャイン会長と小泉首相の密談が行なわれた時期は,下記週刊ポストの記事に現れる「解散に先立つ1週間ほど前」という記述に正確に一致する.
週間ポスト 9/2号 P30 以下抜粋
~略~ 解散に先立つ1週間ほど前、首相の右腕である飯島勲秘書官は、珍しく「親分」の心中を測りかねていた。
時はまさに、自民党執行部も官邸も、何とか解散を避ける為に反対派の切り崩し、説得工作にフル回転していた時期「実は総理が解散したがっているんだよ。なぜだか判らないが‘選挙になれば自民党は絶対勝つ‘と凄い自信なんだ」飯島氏はそう語った。彼が小泉首相の言動を「なぜだか判らない」というのは極めて珍しい。その頃もう一人の同志である山崎拓・元副総裁も同じ言葉を小泉首相から聞いていたと親しい関係者に話している。「確かに勝てると自信を持っていた。
俺にも理由は言わなかったが、自民、公明、だけではなく、民主党からも小泉政権に合流してくる者が出ると計算しているのではないかと思う」しかし、民主党に具体的な分裂工作を仕掛けていた形跡は見当たらない。 ~略~
