2006年 11月 20日
郵政解散総選挙後国民を裏切り賛成に転じた造反組11名の復党で動く平沼赳夫の去就が注目される
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自民党が郵政造反組の復党問題で激しく揺れている.郵政民営化法案に反対して自民党を離党ないし除名された衆議院議員のうち27人が無所属で立候補し,13人が当選,14人が落選した.このうち復党を希望しているのは現職組12人,落選組10人前後と見られる.造反組のリーダーである平沼赳夫元経済産業相は22日に中川秀直幹事長と会談することになっているが,中川幹事長は復党願いの提出締め切り期限を24日午前とするなどコイズミ張りの高飛車な(嵩にかかった)姿勢で臨んでいるため,会談が決裂する可能性が高まっている.
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自民党執行部が復党問題の決着を急ぐ理由は2つある.一つは政党交付金の配分に関わる算盤勘定(議員一人当たり5千万円)の期限が12月31日であること,もう一つは参院自民党からせっつかれている来夏の参院選対策である.復党を求めているのは衆議院議員だが,その多くは参院選で一人区となる選挙区に強固な地盤を有しているため,参院自民党としては彼ら(落選組を含む)の選挙協力が是が非でも欲しいという切羽詰った事情がある.このため青木幹雄参院議員会長らは落選組も含めた一括復党を強く主張しているが,中川幹事長が17日提示した収拾案は「現支部長を小選挙区に,復党組は比例区に」というもので,たとえ復党がかなったとしても造反組が割りを食うことになるのはほぼ間違いなさそうだ.
自民党の田浦直(ただし)参院議員は17日長崎県庁で記者会見を開き来夏の参院選不出馬を表明したが,その中で(心ならずも)総選挙後郵政民営化賛成に転じたことを反省する意向を示し,「反対は誤りではなかった」との考えを改めて強調した.田浦議員は「都市と地方の格差拡大」,「国民負担の増大」を指摘して小泉政権の改革に厳しい評価を下した.田浦氏は厚生労働政務官時代,ハンセン病国家賠償訴訟で国が敗訴したとき坂口力厚労相に「控訴すべきじゃない」と進言していることからも明らかなように「心を持った」政治家である.
我々(民衆)が望むのはこのような「心ある」政治家であり,良心(と選挙民の票)を権力に売り飛ばす大道売人ではない.それにしても,このような本心の吐露を引退表明の場でしか為し得ない党に未来があるだろうか?平沼氏※には新党を旗揚げするというつもりはないのだろうか?野田聖子を筆頭とする無定見で破廉恥な烏合の衆の頭目になるという話はないにしても,落選組には小泉龍司,城内実を始め多くの心ある有志が控えているのだが...
※郵政民営化造反組議員で反対の立場を貫き通したのは平沼赳夫氏唯一人である(亀井静香氏,綿貫民輔氏ら新党結成組を除く.野呂田芳成氏も無所属ではあるが国民新党と統一会派を組み首班指名では綿貫氏に投票した).ちなみに細川内閣で首相特別補佐官を勤めた田中秀征氏は(立場は郵政民営化賛成ではあるが)平沼氏の人物を高く買っている.
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郵政造反組:自民復党問題…新人議員ら43人反対署名
毎日新聞 2006年11月9日 20時29分
郵政造反組の復党に反対する自民党新人議員の会合を終え会見する小野次郎衆院議員(中央)。左端は佐藤ゆかり衆院議員=衆院第一議員会館で9日午前8時10分、須賀川理写す
郵政造反組の復党問題をめぐり、自民党の小野次郎氏ら新人衆院議員3人が9日、党本部に中川秀直幹事長を訪ね、早期復党に慎重対応を求める意見書を提出した。添付した署名に名を連ねたのは43人で、うち新人(84人)は36人。選挙区事情などを背景に「小泉チルドレン」と称された新人たちも対応が二分された格好だ。小野氏らは署名をテコに復党阻止を目指す考えだが、党内は復党容認が大勢で目算は立っていない。
「これは自民党と国民との信頼関係の問題です」。小野氏らは意見書を手に、中川氏に復党反対を訴えた。中川氏は「君らの気持ちもよくわかる。熟慮する」と応じたが、復党への反対は最後まで口にしなかった。
造反組にはベテランや有力議員が多く、復党が認められれば小選挙区の公認をめぐり調整が難航するのは必至。さらに、選挙基盤が弱い新人にとって有権者の反応は切実で、山内康一氏(衆院神奈川9区)は署名に加わった理由について「造反から1年少ししかたっておらず、国民に説明がつかない」と語った。
しかし、新人議員にとっての頼みの綱・小泉純一郎前首相は「政治家は使い捨てにされることを覚悟しなければならない」と発言するなど逆風は強まるばかりだ。昨年の衆院選で「刺客」として戦った新人議員の一人は、造反組復党の恐怖を「自助努力でなんとかしろということだろうが、(今の議員生活は)地獄の上での花見酒だ」と表現した。
一方、新人の中にも小野氏らの動きを「小泉さんや武部(勤前幹事長)さんら、後ろ盾がいなくなって不安な人が署名しているだけ」(森派新人)と冷ややかに見る議員は多い。無所属の造反組12人が復党しても、小選挙区が重なるのは小野氏ら5人にとどまるという事情も、復党反対が広がりに欠ける要因となっているようだ。
造反組の平沼赳夫元経済産業相らは、落選組も含めた一括復党を求める姿勢を崩していない。平沼氏は7日夜、町村信孝前外相や麻生太郎外相らと会食するなど、復党に向けた地ならしを着々と進めている。来夏の参院選では造反組の協力が欠かせないという党執行部の認識にも変化はなく、復党反対の新人議員を取り巻く現状は厳しさを増している。【米村耕一】
◇署名した議員
署名した議員は次の通り(敬称略)。43人中8人は名前を公表しなかった。
<衆院当選1回>赤沢亮正、阿部俊子、伊藤忠彦、新井悦二、飯島夕雁、井脇ノブ子、小野次郎、鍵田忠兵衛、亀井善太郎、川条志嘉、木原稔、近藤三津枝、佐藤ゆかり、篠田陽介、杉村太蔵、田中良生、平将明、土屋正忠、土井真樹、渡嘉敷奈緒美、冨岡勉、中川泰宏、長崎幸太郎、西本勝子、広津素子、藤田幹雄、福田峰之、牧原秀樹、盛山正仁、安井潤一郎、矢野隆司、山内康一<同2回>柴山昌彦<同4回>河野太郎<参院当選2回>山本一太
(最終更新時間 11月10日 1時06分)
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郵政造反組の年内復党論 根拠に「政党交付金」
【産経新聞,2006/11/15 東京朝刊】 (11/15 09:01)
年末が近づくと、永田町でささやかれる話題がある。各政党に交付される政党交付金(助成金)だ。新党を作って次の年に交付金を得ようとすれば、年末までに新党を結成しておかなければならない。かつては年末に相次いで新党が誕生することもあったが、「造反者」の復党をめぐってそろばんを弾く音も聞こえてくる。(政治部 坂井広志)
「12月31日は政党にとって大事な日。気にしなくていいという意見もあるが、乱暴な議論だ」
自民党の笹川堯党紀委員長が最近、「郵政造反組」の復党問題に関してこんな発言をした。政党交付金を意識した発言とみられ、「いずれ復党するなら、年内に復党させてしまうのが望ましい」(自民党関係者)というわけ。
政党交付金の根拠となる政党助成法は、政党本位の政治の実現をねらって導入された小選挙区比例代表並立制の関連法とセットで、平成6年に成立した。
今は自民、民主両党を中心とした与野党の構図が定着しつつあるが、中小政党が多く、政界再編が盛んだったころは、新党作りが年の瀬の風物詩でもあった。実際、平成9年は新党結成の動きが著しかった。現在、民主党代表の小沢一郎氏が中心となって結成した新進党が年末に解党。路頭に迷った各議員らは、慌てて自由党、新党友愛、国民の声、新党平和などの新党を立ち上げた。
制度の導入以来、一貫して政党交付金を受け取っていないのが共産党だ。「自分の納めた税金が、自分の支持していない政党に強制的に回されるのは、憲法の保障する思想・良心の自由をふみにじる」という理由からで、政党助成法に基づく政党届も出していない。
交付金総額は「250円×人口」と定められている。この総額を議員数だけでなく、衆参両院選挙での得票率に応じて配分するため、交付額は議員数ほどの差がつかない。共産党が受け取らない分は他党が受け取っているが、「敵に塩を送っているようなもの」(政府関係者)との見方もある。
各党は今後、来年3月までに提出する使途報告書の作成作業に入る。「国による政治活動の介入を防ぐ」(総務省担当者)ため使途に制限は設けられてないが、各党は自らえりをただすことを求められている。
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田浦参院議員:引退表明 「反対、誤りでなかった」--「郵政」振り返る /長崎
(毎日新聞,11月18日朝刊)
17日、来夏の参院選不出馬と政界引退を表明した自民党の田浦直参院議員(69)=長崎選挙区、2期目=は、県庁で開いた会見で「2回目の選挙が終わったころから、これ以上やるのは欲ではないかと思った。来年70歳になるので後進に道を譲りたい」と引退を決めた心情を明らかにした。
田浦氏は昨年8月、衆院解散前の郵政民営化法案への反対について「信念が通せた。離島や過疎地の郵便局がなくなるという、危ぐしていた方向が出ており心配だ」と述べた。総選挙後は「国民の意思は尊重する」と賛成に転じたが、会見では「反対は誤りでなかった」との考えを強調した。
小泉政権については「改革は進んだのは評価するが、都市と地方の格差が広がった。早く是正しないといけない。社会保障制度も改革というけれど、国民に負担を押し付けているのではないか」と辛口の評価を示した。郵政民営化問題で造反組の復党については「離党させた党紀委員会の判断が間違っていた。今みたいなこそくな復党の条件は、過ちを重ねるだけ。もう一度、党紀委員会で再審すればいい」と苦言を呈した。
参院議員の思い出については、厚生労働政務官時代、ハンセン病国家賠償訴訟で控訴するかどうかについて、同じ医者だった坂口力厚労相に「控訴すべきじゃない」と進言し、国が01年5月に控訴を断念したことや、被爆地域の拡大是正となる「被爆体験者」支援制度作りに被爆者としてかかわれたことを挙げた。
自民党県連は次期参院選候補の公募制導入を決めている。田浦氏は後継について「30~40代で、語学に堪能で政策に秀でた人」としたが、具体的な候補者については「全くの白紙」と語った。
田浦氏は75年から連続5期、県議に当選。95年に当時の新進党公認で参院議員に初当選した。01年は自民党公認で2回目の当選を果たした。【横田信行】
11月18日13時1分更新
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次期衆院選、選挙区は「刺客」優先
造反組復党の場合、自民党方針
(中日新聞,2006-11-18)
自民党は17日、昨年の通常国会で郵政民営化法に反対し、自民党を離党、除名された「郵政造反組」が復党した場合、次期衆院選では、現在の小選挙区支部長を小選挙区の候補とし、造反組は比例代表単独候補として名簿上位に登載する方針を固めた。党執行部は造反組の交渉窓口役である平沼赳夫元経済産業相にもこの方針を伝えた。
自民党幹部は17日、造反組が復党した場合の選挙区調整について「小選挙区の支部長が、次期衆院選小選挙区の公認候補だ。例外を認めると混乱する。平沼氏にも伝えてある」と述べた。
造反組の無所属議員13人のうち、平沼氏(岡山3区)や野田聖子元郵政相(岐阜1区)ら7人が当選した小選挙区では、昨年の衆院選で党本部から「刺客」として送り込まれ、小選挙区では敗れたものの、比例代表で復活当選した自民党議員が支部長を務めている。
野呂田芳成元防衛庁長官(秋田2区)ら2人の小選挙区では次期衆院選で公認が見込まれる新人が支部長を務めている。古屋圭司氏(岐阜5区)ら4人の小選挙区では支部長が空席だったり、参院議員が代理で務めたりしている。
19日投開票の沖縄県知事選後に本格化する党執行部と造反組の交渉で、執行部が次期衆院選で比例代表に回ることを復党の条件にすれば、造反組は復党を拒否する可能性が高い。
一方、執行部は来夏の参院選対策として年内に復党を実現させたい意向だ。このため、選挙区調整の方針は固まったものの、実際の決着は復党後に先送りされる可能性もある。
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近聞遠見:平沼赳夫の「ここ一番」=岩見隆夫
毎日新聞 2006年11月18日 東京朝刊
憲法第43条は、
<衆参両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する>
と規定している。議員は<全国民の代表>だが、そのことと所属政党の党議拘束との関係はたえず微妙である。
拘束を厳格にしすぎると、<全国民の代表>としての憲法上の立場が揺らぐ。いま自民党をにぎわしている郵政造反組の復党問題は、そうしたことにからむ重大なテーマだ。
復党交渉窓口役の中心人物、平沼赳夫元経済産業相は政治家としての正念場に立つことになった。平沼の決断は政党政治の今後のあり方に一石を投じるからだ。
なぜなら、郵政民営化法案に反対して自民党を追われた無所属議員12人のうち、平沼一人だけが、昨年9月の衆院選後の特別国会に再提出された同法案に、再び反対票を投じ(あとの11人は賛成票)、信念を貫いた。
採決の前に、安倍晋三幹事長代理(当時)から、
「憲法や教育基本法の改正が控えているので、なんとしても賛成し、自民党に戻ってほしい」
と懇願されたが、平沼は、
「郵政民営化反対は私の政治信念だ。ここで賛成すれば政治家としての分(ぶん)が立たない」
と断ったという。分は、本分という意味だろう。
これまで、平沼はその理由として、
一、郵政民営化はアメリカの要望に盲従したにすぎず、改革の名に値しない。
一、民営化法が成立すれば、国民の虎の子ともいうべき総額340兆円もの郵貯・簡保資金が海千山千の外資の餌食になる恐れが十分だ。
一、従って、この<えせ改革>には、国家的見地から信念をもって反対する。
--などと述べてきた。2度目の反対のときは、無所属だから党議拘束はなく、<全国民の代表>としての1票である。
今回の復党条件として、中川秀直幹事長は、自民党の政権公約の順守などをあげ、
「踏み絵を踏んでもらう」
としてきた。平沼には郵政民営化賛成に切り替えることを求めているわけだ。
平沼はどう対応するのか。
「私の復党は若干タイミングがずれるかもしれないが、戻ることは確実だ。幹事長が踏み絵を踏ませるのであれば、やり合おうと思う」(11日、岡山県の講演で)
と述べ、いまのところ、賛成に転じるのを拒む構えをとっている。これまでの言動から、当然の心境だろう。
最後まで平沼が信念を通した場合、自民党はどう裁定するのか。最終決定者である安倍首相が逆に<踏み絵>を踏まされるハメになる。
麻生太郎外相らは、
「たったひとつの法案で意見が合わなかったからといって、離党に追い込んだのは、基本的にやりすぎだ」
と小泉純一郎前首相の徹底した排除主義を批判するが、信念を曲げない平沼の復党を受け入れれば、結果的に安倍が小泉のそうした<やりすぎ>を認めたことになる。
同時に、党議拘束が緩められ、小泉以前の融通の利く自民党に戻る。だが、小泉側近として、ただの法案でなく、<改革の本丸>と位置づける郵政法案に取り組んできた安倍にとっては、苦しい選択になるだろう。
最近の核論議にしろ、一政党のなかで多様な意見が渦巻く時期だ。党議拘束のシバリをかけ過ぎるのは、政治の活性化のうえからも好ましくない。
平沼問題の行方は、<全国民の代表>としての比重を高めるかどうかに深くかかわってくる。平沼の、ここ一番を注視したい。(敬称略)=毎週土曜日に掲載
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岩見隆夫のホームページはhttp://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/iwami/kinbun/
【参照記事】
特に平沼赳夫、おまい見損なったぞ。《山崎行太郎の毒蛇山荘日記》
平沼赳夫よ何処へ行く《帝國政治監視所》
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自民党執行部が復党問題の決着を急ぐ理由は2つある.一つは政党交付金の配分に関わる算盤勘定(議員一人当たり5千万円)の期限が12月31日であること,もう一つは参院自民党からせっつかれている来夏の参院選対策である.復党を求めているのは衆議院議員だが,その多くは参院選で一人区となる選挙区に強固な地盤を有しているため,参院自民党としては彼ら(落選組を含む)の選挙協力が是が非でも欲しいという切羽詰った事情がある.このため青木幹雄参院議員会長らは落選組も含めた一括復党を強く主張しているが,中川幹事長が17日提示した収拾案は「現支部長を小選挙区に,復党組は比例区に」というもので,たとえ復党がかなったとしても造反組が割りを食うことになるのはほぼ間違いなさそうだ.
自民党の田浦直(ただし)参院議員は17日長崎県庁で記者会見を開き来夏の参院選不出馬を表明したが,その中で(心ならずも)総選挙後郵政民営化賛成に転じたことを反省する意向を示し,「反対は誤りではなかった」との考えを改めて強調した.田浦議員は「都市と地方の格差拡大」,「国民負担の増大」を指摘して小泉政権の改革に厳しい評価を下した.田浦氏は厚生労働政務官時代,ハンセン病国家賠償訴訟で国が敗訴したとき坂口力厚労相に「控訴すべきじゃない」と進言していることからも明らかなように「心を持った」政治家である.
我々(民衆)が望むのはこのような「心ある」政治家であり,良心(と選挙民の票)を権力に売り飛ばす大道売人ではない.それにしても,このような本心の吐露を引退表明の場でしか為し得ない党に未来があるだろうか?平沼氏※には新党を旗揚げするというつもりはないのだろうか?野田聖子を筆頭とする無定見で破廉恥な烏合の衆の頭目になるという話はないにしても,落選組には小泉龍司,城内実を始め多くの心ある有志が控えているのだが...
※郵政民営化造反組議員で反対の立場を貫き通したのは平沼赳夫氏唯一人である(亀井静香氏,綿貫民輔氏ら新党結成組を除く.野呂田芳成氏も無所属ではあるが国民新党と統一会派を組み首班指名では綿貫氏に投票した).ちなみに細川内閣で首相特別補佐官を勤めた田中秀征氏は(立場は郵政民営化賛成ではあるが)平沼氏の人物を高く買っている.
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郵政造反組:自民復党問題…新人議員ら43人反対署名
毎日新聞 2006年11月9日 20時29分
郵政造反組の復党問題をめぐり、自民党の小野次郎氏ら新人衆院議員3人が9日、党本部に中川秀直幹事長を訪ね、早期復党に慎重対応を求める意見書を提出した。添付した署名に名を連ねたのは43人で、うち新人(84人)は36人。選挙区事情などを背景に「小泉チルドレン」と称された新人たちも対応が二分された格好だ。小野氏らは署名をテコに復党阻止を目指す考えだが、党内は復党容認が大勢で目算は立っていない。
「これは自民党と国民との信頼関係の問題です」。小野氏らは意見書を手に、中川氏に復党反対を訴えた。中川氏は「君らの気持ちもよくわかる。熟慮する」と応じたが、復党への反対は最後まで口にしなかった。
造反組にはベテランや有力議員が多く、復党が認められれば小選挙区の公認をめぐり調整が難航するのは必至。さらに、選挙基盤が弱い新人にとって有権者の反応は切実で、山内康一氏(衆院神奈川9区)は署名に加わった理由について「造反から1年少ししかたっておらず、国民に説明がつかない」と語った。
しかし、新人議員にとっての頼みの綱・小泉純一郎前首相は「政治家は使い捨てにされることを覚悟しなければならない」と発言するなど逆風は強まるばかりだ。昨年の衆院選で「刺客」として戦った新人議員の一人は、造反組復党の恐怖を「自助努力でなんとかしろということだろうが、(今の議員生活は)地獄の上での花見酒だ」と表現した。
一方、新人の中にも小野氏らの動きを「小泉さんや武部(勤前幹事長)さんら、後ろ盾がいなくなって不安な人が署名しているだけ」(森派新人)と冷ややかに見る議員は多い。無所属の造反組12人が復党しても、小選挙区が重なるのは小野氏ら5人にとどまるという事情も、復党反対が広がりに欠ける要因となっているようだ。
造反組の平沼赳夫元経済産業相らは、落選組も含めた一括復党を求める姿勢を崩していない。平沼氏は7日夜、町村信孝前外相や麻生太郎外相らと会食するなど、復党に向けた地ならしを着々と進めている。来夏の参院選では造反組の協力が欠かせないという党執行部の認識にも変化はなく、復党反対の新人議員を取り巻く現状は厳しさを増している。【米村耕一】
◇署名した議員
署名した議員は次の通り(敬称略)。43人中8人は名前を公表しなかった。
<衆院当選1回>赤沢亮正、阿部俊子、伊藤忠彦、新井悦二、飯島夕雁、井脇ノブ子、小野次郎、鍵田忠兵衛、亀井善太郎、川条志嘉、木原稔、近藤三津枝、佐藤ゆかり、篠田陽介、杉村太蔵、田中良生、平将明、土屋正忠、土井真樹、渡嘉敷奈緒美、冨岡勉、中川泰宏、長崎幸太郎、西本勝子、広津素子、藤田幹雄、福田峰之、牧原秀樹、盛山正仁、安井潤一郎、矢野隆司、山内康一<同2回>柴山昌彦<同4回>河野太郎<参院当選2回>山本一太
(最終更新時間 11月10日 1時06分)
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郵政造反組の年内復党論 根拠に「政党交付金」
【産経新聞,2006/11/15 東京朝刊】 (11/15 09:01)
「12月31日は政党にとって大事な日。気にしなくていいという意見もあるが、乱暴な議論だ」
自民党の笹川堯党紀委員長が最近、「郵政造反組」の復党問題に関してこんな発言をした。政党交付金を意識した発言とみられ、「いずれ復党するなら、年内に復党させてしまうのが望ましい」(自民党関係者)というわけ。
政党交付金の根拠となる政党助成法は、政党本位の政治の実現をねらって導入された小選挙区比例代表並立制の関連法とセットで、平成6年に成立した。
今は自民、民主両党を中心とした与野党の構図が定着しつつあるが、中小政党が多く、政界再編が盛んだったころは、新党作りが年の瀬の風物詩でもあった。実際、平成9年は新党結成の動きが著しかった。現在、民主党代表の小沢一郎氏が中心となって結成した新進党が年末に解党。路頭に迷った各議員らは、慌てて自由党、新党友愛、国民の声、新党平和などの新党を立ち上げた。
制度の導入以来、一貫して政党交付金を受け取っていないのが共産党だ。「自分の納めた税金が、自分の支持していない政党に強制的に回されるのは、憲法の保障する思想・良心の自由をふみにじる」という理由からで、政党助成法に基づく政党届も出していない。
交付金総額は「250円×人口」と定められている。この総額を議員数だけでなく、衆参両院選挙での得票率に応じて配分するため、交付額は議員数ほどの差がつかない。共産党が受け取らない分は他党が受け取っているが、「敵に塩を送っているようなもの」(政府関係者)との見方もある。
各党は今後、来年3月までに提出する使途報告書の作成作業に入る。「国による政治活動の介入を防ぐ」(総務省担当者)ため使途に制限は設けられてないが、各党は自らえりをただすことを求められている。
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田浦参院議員:引退表明 「反対、誤りでなかった」--「郵政」振り返る /長崎
(毎日新聞,11月18日朝刊)
17日、来夏の参院選不出馬と政界引退を表明した自民党の田浦直参院議員(69)=長崎選挙区、2期目=は、県庁で開いた会見で「2回目の選挙が終わったころから、これ以上やるのは欲ではないかと思った。来年70歳になるので後進に道を譲りたい」と引退を決めた心情を明らかにした。
田浦氏は昨年8月、衆院解散前の郵政民営化法案への反対について「信念が通せた。離島や過疎地の郵便局がなくなるという、危ぐしていた方向が出ており心配だ」と述べた。総選挙後は「国民の意思は尊重する」と賛成に転じたが、会見では「反対は誤りでなかった」との考えを強調した。
小泉政権については「改革は進んだのは評価するが、都市と地方の格差が広がった。早く是正しないといけない。社会保障制度も改革というけれど、国民に負担を押し付けているのではないか」と辛口の評価を示した。郵政民営化問題で造反組の復党については「離党させた党紀委員会の判断が間違っていた。今みたいなこそくな復党の条件は、過ちを重ねるだけ。もう一度、党紀委員会で再審すればいい」と苦言を呈した。
参院議員の思い出については、厚生労働政務官時代、ハンセン病国家賠償訴訟で控訴するかどうかについて、同じ医者だった坂口力厚労相に「控訴すべきじゃない」と進言し、国が01年5月に控訴を断念したことや、被爆地域の拡大是正となる「被爆体験者」支援制度作りに被爆者としてかかわれたことを挙げた。
自民党県連は次期参院選候補の公募制導入を決めている。田浦氏は後継について「30~40代で、語学に堪能で政策に秀でた人」としたが、具体的な候補者については「全くの白紙」と語った。
田浦氏は75年から連続5期、県議に当選。95年に当時の新進党公認で参院議員に初当選した。01年は自民党公認で2回目の当選を果たした。【横田信行】
11月18日13時1分更新
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次期衆院選、選挙区は「刺客」優先
造反組復党の場合、自民党方針
(中日新聞,2006-11-18)
自民党は17日、昨年の通常国会で郵政民営化法に反対し、自民党を離党、除名された「郵政造反組」が復党した場合、次期衆院選では、現在の小選挙区支部長を小選挙区の候補とし、造反組は比例代表単独候補として名簿上位に登載する方針を固めた。党執行部は造反組の交渉窓口役である平沼赳夫元経済産業相にもこの方針を伝えた。
自民党幹部は17日、造反組が復党した場合の選挙区調整について「小選挙区の支部長が、次期衆院選小選挙区の公認候補だ。例外を認めると混乱する。平沼氏にも伝えてある」と述べた。
造反組の無所属議員13人のうち、平沼氏(岡山3区)や野田聖子元郵政相(岐阜1区)ら7人が当選した小選挙区では、昨年の衆院選で党本部から「刺客」として送り込まれ、小選挙区では敗れたものの、比例代表で復活当選した自民党議員が支部長を務めている。
野呂田芳成元防衛庁長官(秋田2区)ら2人の小選挙区では次期衆院選で公認が見込まれる新人が支部長を務めている。古屋圭司氏(岐阜5区)ら4人の小選挙区では支部長が空席だったり、参院議員が代理で務めたりしている。
19日投開票の沖縄県知事選後に本格化する党執行部と造反組の交渉で、執行部が次期衆院選で比例代表に回ることを復党の条件にすれば、造反組は復党を拒否する可能性が高い。
一方、執行部は来夏の参院選対策として年内に復党を実現させたい意向だ。このため、選挙区調整の方針は固まったものの、実際の決着は復党後に先送りされる可能性もある。
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近聞遠見:平沼赳夫の「ここ一番」=岩見隆夫
毎日新聞 2006年11月18日 東京朝刊
憲法第43条は、
<衆参両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する>
と規定している。議員は<全国民の代表>だが、そのことと所属政党の党議拘束との関係はたえず微妙である。
拘束を厳格にしすぎると、<全国民の代表>としての憲法上の立場が揺らぐ。いま自民党をにぎわしている郵政造反組の復党問題は、そうしたことにからむ重大なテーマだ。
復党交渉窓口役の中心人物、平沼赳夫元経済産業相は政治家としての正念場に立つことになった。平沼の決断は政党政治の今後のあり方に一石を投じるからだ。
なぜなら、郵政民営化法案に反対して自民党を追われた無所属議員12人のうち、平沼一人だけが、昨年9月の衆院選後の特別国会に再提出された同法案に、再び反対票を投じ(あとの11人は賛成票)、信念を貫いた。
採決の前に、安倍晋三幹事長代理(当時)から、
「憲法や教育基本法の改正が控えているので、なんとしても賛成し、自民党に戻ってほしい」
と懇願されたが、平沼は、
「郵政民営化反対は私の政治信念だ。ここで賛成すれば政治家としての分(ぶん)が立たない」
と断ったという。分は、本分という意味だろう。
これまで、平沼はその理由として、
一、郵政民営化はアメリカの要望に盲従したにすぎず、改革の名に値しない。
一、民営化法が成立すれば、国民の虎の子ともいうべき総額340兆円もの郵貯・簡保資金が海千山千の外資の餌食になる恐れが十分だ。
一、従って、この<えせ改革>には、国家的見地から信念をもって反対する。
--などと述べてきた。2度目の反対のときは、無所属だから党議拘束はなく、<全国民の代表>としての1票である。
今回の復党条件として、中川秀直幹事長は、自民党の政権公約の順守などをあげ、
「踏み絵を踏んでもらう」
としてきた。平沼には郵政民営化賛成に切り替えることを求めているわけだ。
平沼はどう対応するのか。
「私の復党は若干タイミングがずれるかもしれないが、戻ることは確実だ。幹事長が踏み絵を踏ませるのであれば、やり合おうと思う」(11日、岡山県の講演で)
と述べ、いまのところ、賛成に転じるのを拒む構えをとっている。これまでの言動から、当然の心境だろう。
最後まで平沼が信念を通した場合、自民党はどう裁定するのか。最終決定者である安倍首相が逆に<踏み絵>を踏まされるハメになる。
麻生太郎外相らは、
「たったひとつの法案で意見が合わなかったからといって、離党に追い込んだのは、基本的にやりすぎだ」
と小泉純一郎前首相の徹底した排除主義を批判するが、信念を曲げない平沼の復党を受け入れれば、結果的に安倍が小泉のそうした<やりすぎ>を認めたことになる。
同時に、党議拘束が緩められ、小泉以前の融通の利く自民党に戻る。だが、小泉側近として、ただの法案でなく、<改革の本丸>と位置づける郵政法案に取り組んできた安倍にとっては、苦しい選択になるだろう。
最近の核論議にしろ、一政党のなかで多様な意見が渦巻く時期だ。党議拘束のシバリをかけ過ぎるのは、政治の活性化のうえからも好ましくない。
平沼問題の行方は、<全国民の代表>としての比重を高めるかどうかに深くかかわってくる。平沼の、ここ一番を注視したい。(敬称略)=毎週土曜日に掲載
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岩見隆夫のホームページはhttp://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/iwami/kinbun/
【参照記事】
特に平沼赳夫、おまい見損なったぞ。《山崎行太郎の毒蛇山荘日記》
平沼赳夫よ何処へ行く《帝國政治監視所》
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by exod-US
| 2006-11-20 16:44
| 郵政をユダヤ資本から取り戻せ