2013年 08月 08日
原発危機:建屋内地下水流入抑制対策工事の工法に関する私見 《提言》
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TEPCOに任せていられないという声が世界中に拡がる中,ようやく政府が本腰を入れて対策に乗り出すことになり,8月7日の原子力災害対策本部会議で平成26年度予算の概算要求に汚染水対策の関連費用(凍土壁建設費300億~400億円の一部)を盛り込む方針が打ち出された.2010年メキシコ湾原油流出事故に際し環境保護派からの突き上げを受けてオバマ大統領が直接イニシアティブを揮った状況に似てきている.
同日,東電は流出対策として準備を進めていた護岸付近での地下水のくみ上げを9日から始めると発表.汲み上げる地下水の量は地盤改良工事完了予定の来年9月までに約4万トンに上ると推定されている.第1原発内のタンクの容量は約26万6千トンで,このうち9日現在で約25万4千トンが使われている.8月5日地下貯水槽からの汚染水漏れが発覚し地下貯水槽の約2万3600トンを6月中に地上タンクへ移送することが決まったため,状況は一気に切迫してきた.東電は敷地南側の森林約10万平方メートルを伐採して30万トン分のタンクを設置することを見込んでいたが,計画を前倒しして9月末までにタンクの貯蔵容量を約45万トンまで増やすこととし,さらに2015年中に70万トンまで増設することを予定している.
とりあえずこれで何とかしのげそうな気配になってきた.喜ばしい展開だ.だが,増設できるタンク容量にもいずれ限界がある.最終的には何らかの形で最終処分しなくてはならない時期が必ず来る.米国原発プラント専門家のマイケル・フリードランダー氏は「最終的には汚染水を海に捨てるか、蒸発させるかの選択になるのではないか。[だが]どちらも世論の猛反対を受けるだろう。」と語った.実際スリーマイルでは「汚染水の蒸発処理」を実施しているが,公聴会などでの猛烈な反対の声を押し切っての上だ.
高濃度汚染水からすべての放射性物質を除去する工程は現時点ではまだ確立していないようであるが仮にそれが可能になったとしても,そのプロセスからは低濃度汚染水以上のものを生成することはできないと考えられる.従って,低濃度汚染水を処理する方法を今のうちに確立する必要がある.「海洋投棄」というのは万策尽きたときの最後の手段であり,それ以外に方法がないという「切迫した事態」においてある限度内においてのみ許容されるあくまで例外的な手段であり,それをあらかじめ予定するということはあり得ない.※
わたしは前便で山上の深井戸に低濃度汚染水を高圧注水するという方法を提案した.ウラン鉱は山の産物であるから山に返すのが順当であるというスタンスだ.この方式では「深度地層自体」がろ過装置として機能することを予定している.従って,この深井戸を中心とするかなり広い区画は「生活圏/産業圏」から切り離された(つまりまさしく霊的な)ものでなくてはならない.「東電福島第一を廃棄原発の霊園に!」という当ブログのスローガンにはこのような展開も想定として含まれている.このスローガンを別の言葉で言い換えると,「フクシマ第一20キロ圏を国立公園化せよ!」ということになる.これは必ずしもわたし一人が考えていることではない.
少なくとも森まさこ議員(自民党)には賛同して頂けると思う.平成23年4月26日参院法務委員会の録画ビデオ「森まさこ【20K圏内はご遺体が野ざらしなのを】」をYouTubeで拝聴したところだが,その中で氏は「原発直下の二十キロ以内の立入禁止区域における人的法律関係」に関わる法務省の無策を強く批判しながら,地元被災者の切実な訴えを背景に,「国がその土地を買い上げたり借り上げたりすれば、一時的にでもその被災者に現金が渡ります。 《中略》 やはり二十キロ圏内については特別な立法をしていく、特別措置法でも作っていかなければならないというようなことをやはり対策本部会議で大きな視点でお話合いしていただきたい。」と主張されているからだ.わたしはそこに「血の通った政治家」を発見し,強い共感を覚えた.
国有化というと直ちに「土地の強制収用」などから「三里塚」などが連想されるために,(政治家は)そのような発想を避ける傾向があるのではないかという気がする.むしろこの案は実態に即し事態を早期解決に向かわしめることを可能にする「誰もが喜ぶ」解決策である.(わたしがもっとも懸念しているのは子どもたちのことであり,またその地で食品を生産/消費することの不条理である)加須市に災害公営住宅を設置して集団移住という話も出ているようだが,どこか適所を探して「新都市」を作ることすら可能なのではないかと思う(共同住宅を供給するというのがミニマムな対応策だが,前者の方が都市計画家も喜ぶだろう).復興資金を食い物にするやからが輩出しているようにも伺われるが恥ずべきことである.お金はもっとまっすぐ使うべきだ.
話が横に逸れてしまったが,「汚染水の蒸発処理」というオプションを考えてみたい.もちろんそれができれば蒸気を水に戻して海洋投棄することも可能だ.日本には半導体の製造プロセスなどで使われる「超純水」を精製する技術がある.超純水の精製プロセスで放射性物質を「浄水」レベルまで除去できるのかどうかは分からないが,追究する価値はあると思う.超純水製造プラントには日産数万トンクラスのものもあるというのだから,もしこれを実現できれば汚染水の問題は完全に解決することになる.また,これとは別に「マイクロ波乾燥」という方法もある.
電子レンジで使われているマイクロウェーブは波長に応じて特定の物質(分子)のみを内部から選択加熱することができる.これを応用してマイクロ波加熱によって水分を蒸発させるマイクロ波乾燥と呼ばれる技術があり,食品から建材,廃棄物処理まで工業的に広く利用されているという話だが,使えないだろうか?減圧下でマイクロ波を照射するとより効率的に乾燥が行えるともある.生成されたスチームに放射性物質が混入してしまう場合には,スチーム流の管路を延長してその区間で分別するなどのことは考えられないだろうか?※
もちろん超純水+マイクロ波乾燥という組み合わせも可能だ.研究の余地は十分あるのではないかと思う.研究機関/企業が(共同して)手がけてくれることを期待する.もちろん国はこのような研究開発に対しては惜しみなく資金を供給すべきだ.上記のようなプラントを構築するとしたらすでに今の敷地では足りないと思われる.近隣の山林くらいはただちに買収すべきだろう.
※追記(2013-08-08)旧ソ連崩壊後の2001年に日本はロシアに「すずらん丸」という名前の放射性液体廃棄物処理船舶(はしけ)を提供している.この船は年間7000トンの低濃度汚染水を処理する能力を持っている.すずらん丸は多分処理後の水を海洋に放出しているのではないか?と推定されるが,現在の環境基準で「浄水」として認められるレベルをクリアできているかどうかは疑問だ.処理能力もフクシマで要求させれているスケールとは隔たりがあるが,このとき培われた技術は今後大量の低濃度汚染水を処理するときの技術的なベースになるだろう.
※追記(2013-08-10)超純水の精製プロセスは大雑把に水をろ過する装置と見てよいと思われるが,この装置をスチームを直接ろ過するように改造すればマイクロ波乾燥機の出力を超純水製造装置に接続することができる.スチームのまま処理するというのはスチームが凝結して水に戻り周辺物質を溶融してしまうのを避けるためだ.目標は放射性物質を除去して浄水(飲用に適する水)を精製することだから,ミネラルや塩分などが残るのは差し支えない.
同日,東電は流出対策として準備を進めていた護岸付近での地下水のくみ上げを9日から始めると発表.汲み上げる地下水の量は地盤改良工事完了予定の来年9月までに約4万トンに上ると推定されている.第1原発内のタンクの容量は約26万6千トンで,このうち9日現在で約25万4千トンが使われている.8月5日地下貯水槽からの汚染水漏れが発覚し地下貯水槽の約2万3600トンを6月中に地上タンクへ移送することが決まったため,状況は一気に切迫してきた.東電は敷地南側の森林約10万平方メートルを伐採して30万トン分のタンクを設置することを見込んでいたが,計画を前倒しして9月末までにタンクの貯蔵容量を約45万トンまで増やすこととし,さらに2015年中に70万トンまで増設することを予定している.
とりあえずこれで何とかしのげそうな気配になってきた.喜ばしい展開だ.だが,増設できるタンク容量にもいずれ限界がある.最終的には何らかの形で最終処分しなくてはならない時期が必ず来る.米国原発プラント専門家のマイケル・フリードランダー氏は「最終的には汚染水を海に捨てるか、蒸発させるかの選択になるのではないか。[だが]どちらも世論の猛反対を受けるだろう。」と語った.実際スリーマイルでは「汚染水の蒸発処理」を実施しているが,公聴会などでの猛烈な反対の声を押し切っての上だ.
高濃度汚染水からすべての放射性物質を除去する工程は現時点ではまだ確立していないようであるが仮にそれが可能になったとしても,そのプロセスからは低濃度汚染水以上のものを生成することはできないと考えられる.従って,低濃度汚染水を処理する方法を今のうちに確立する必要がある.「海洋投棄」というのは万策尽きたときの最後の手段であり,それ以外に方法がないという「切迫した事態」においてある限度内においてのみ許容されるあくまで例外的な手段であり,それをあらかじめ予定するということはあり得ない.※
わたしは前便で山上の深井戸に低濃度汚染水を高圧注水するという方法を提案した.ウラン鉱は山の産物であるから山に返すのが順当であるというスタンスだ.この方式では「深度地層自体」がろ過装置として機能することを予定している.従って,この深井戸を中心とするかなり広い区画は「生活圏/産業圏」から切り離された(つまりまさしく霊的な)ものでなくてはならない.「東電福島第一を廃棄原発の霊園に!」という当ブログのスローガンにはこのような展開も想定として含まれている.このスローガンを別の言葉で言い換えると,「フクシマ第一20キロ圏を国立公園化せよ!」ということになる.これは必ずしもわたし一人が考えていることではない.
少なくとも森まさこ議員(自民党)には賛同して頂けると思う.平成23年4月26日参院法務委員会の録画ビデオ「森まさこ【20K圏内はご遺体が野ざらしなのを】」をYouTubeで拝聴したところだが,その中で氏は「原発直下の二十キロ以内の立入禁止区域における人的法律関係」に関わる法務省の無策を強く批判しながら,地元被災者の切実な訴えを背景に,「国がその土地を買い上げたり借り上げたりすれば、一時的にでもその被災者に現金が渡ります。 《中略》 やはり二十キロ圏内については特別な立法をしていく、特別措置法でも作っていかなければならないというようなことをやはり対策本部会議で大きな視点でお話合いしていただきたい。」と主張されているからだ.わたしはそこに「血の通った政治家」を発見し,強い共感を覚えた.
国有化というと直ちに「土地の強制収用」などから「三里塚」などが連想されるために,(政治家は)そのような発想を避ける傾向があるのではないかという気がする.むしろこの案は実態に即し事態を早期解決に向かわしめることを可能にする「誰もが喜ぶ」解決策である.(わたしがもっとも懸念しているのは子どもたちのことであり,またその地で食品を生産/消費することの不条理である)加須市に災害公営住宅を設置して集団移住という話も出ているようだが,どこか適所を探して「新都市」を作ることすら可能なのではないかと思う(共同住宅を供給するというのがミニマムな対応策だが,前者の方が都市計画家も喜ぶだろう).復興資金を食い物にするやからが輩出しているようにも伺われるが恥ずべきことである.お金はもっとまっすぐ使うべきだ.
話が横に逸れてしまったが,「汚染水の蒸発処理」というオプションを考えてみたい.もちろんそれができれば蒸気を水に戻して海洋投棄することも可能だ.日本には半導体の製造プロセスなどで使われる「超純水」を精製する技術がある.超純水の精製プロセスで放射性物質を「浄水」レベルまで除去できるのかどうかは分からないが,追究する価値はあると思う.超純水製造プラントには日産数万トンクラスのものもあるというのだから,もしこれを実現できれば汚染水の問題は完全に解決することになる.また,これとは別に「マイクロ波乾燥」という方法もある.
電子レンジで使われているマイクロウェーブは波長に応じて特定の物質(分子)のみを内部から選択加熱することができる.これを応用してマイクロ波加熱によって水分を蒸発させるマイクロ波乾燥と呼ばれる技術があり,食品から建材,廃棄物処理まで工業的に広く利用されているという話だが,使えないだろうか?減圧下でマイクロ波を照射するとより効率的に乾燥が行えるともある.生成されたスチームに放射性物質が混入してしまう場合には,スチーム流の管路を延長してその区間で分別するなどのことは考えられないだろうか?※
もちろん超純水+マイクロ波乾燥という組み合わせも可能だ.研究の余地は十分あるのではないかと思う.研究機関/企業が(共同して)手がけてくれることを期待する.もちろん国はこのような研究開発に対しては惜しみなく資金を供給すべきだ.上記のようなプラントを構築するとしたらすでに今の敷地では足りないと思われる.近隣の山林くらいはただちに買収すべきだろう.
※追記(2013-08-08)旧ソ連崩壊後の2001年に日本はロシアに「すずらん丸」という名前の放射性液体廃棄物処理船舶(はしけ)を提供している.この船は年間7000トンの低濃度汚染水を処理する能力を持っている.すずらん丸は多分処理後の水を海洋に放出しているのではないか?と推定されるが,現在の環境基準で「浄水」として認められるレベルをクリアできているかどうかは疑問だ.処理能力もフクシマで要求させれているスケールとは隔たりがあるが,このとき培われた技術は今後大量の低濃度汚染水を処理するときの技術的なベースになるだろう.
※追記(2013-08-10)超純水の精製プロセスは大雑把に水をろ過する装置と見てよいと思われるが,この装置をスチームを直接ろ過するように改造すればマイクロ波乾燥機の出力を超純水製造装置に接続することができる.スチームのまま処理するというのはスチームが凝結して水に戻り周辺物質を溶融してしまうのを避けるためだ.目標は放射性物質を除去して浄水(飲用に適する水)を精製することだから,ミネラルや塩分などが残るのは差し支えない.
by exod-US
| 2013-08-08 08:31
| フクシマ・サボタージュ
















