2005年 08月 03日
郵政民営化:身包みはがされて最後に残ったイチジクの葉一枚
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RE: 【611F駅通り殺傷事件:その後――我々はノーリターンポイントを越えたのだろうか?】
郵政民営化の問題を皆さん非常に矮小化して考えていらっしゃるのではないかという感じがします.あまり長くならないようにかいつまんで,郵政民営化の意味,その企てを阻止することの意義,阻止することができたとして,その次にくるものは何か,一体何ができるのか?ということをお話したいと思います.
中曽根売国政権によって実施された:国鉄民営化を手始めとし,あらゆる機構・段階で民営化が進行し,最期に遺された「本丸」がこの郵政民営化であるということは基本的に確認されなくてはなりません※.郵政機能を区分して以下の3つがあるとします.①郵便物集配機能,②郵便貯金機能,③簡易保険機能.本来はこれに④電信電話機能が入っていたのですが,すでに(外国に通じる?)マフィアどもの手中に落ちてしまっていることはご存知の通りです.※中央銀行つまり日銀はすでに当の昔(たとえばP1ないしそれ以前)に彼らに掌握されている.
①の郵便物集配機能は,オートメーション化はある程度可能であるとしても労働集約型の儲けの薄いビジネスです.このビジネスはいくつかの技術的問題をクリアすることができれば,有能な事業家の手にゆだねることも可能であると思います.実際クロネコ大和はそれが可能であることを実証しています.技術的問題とは,たとえば,信書の秘密の尊守,一定時間内に確実に配達されることの保証,僻地への配達をどうするか?などの問題です.インターネットがさらに普及すれば,電子メールが封書郵便物を駆逐するのはほとんど時間の問題です.特定郵便局をどうするかという問題は政策の問題ですので,ここでは触れません.
③の簡易保険機能については,私はあまり知識がありません.私自身は埼玉県民共済に入っています.(必要があってつい最近加入しました.)生命保険システムというのは非常に詐欺的なシステムであるという認識を持っていますが,埼玉県民共済は共済の名に恥じない私の知る限りベストの保険システムです.埼玉県民共済は私企業ですが,掛け金の95%?を加入者に還元しています.従って,少なくとも埼玉県民共済と同水準の国民共済を実現するという前提において簡易保険の民営化について基本的な問題はないと私は考えます.しかし,このシステムは県民共済よりもはるかに規模の大きいものになると考えられますから,国民の監視の下に置く必要があるという意味で,半官半民が適切であるような気がします.ないし,埼玉県民共済規模に分割するという方法もあるかもしれませんが.
こうしてみると,私が泥棒と言っているのは主として②の郵貯の問題であるということがはっきりします.正確な数字はありませんが,郵貯と簡保を合わせて350兆円と言われています.以下では仮に郵貯200兆円として(モデル化して)考えます.1400兆円?と言われる国民金融資産の主要部を為すのがこの郵貯200兆円です.どうも皆さんにはこのところがピンと来ないところがあるようなので,「200兆円の金塊」が郵政省地下金庫に眠っていると考えてください.泥棒たちが盗もうとしているのはこの「金塊」です.こう言われるかもしれません.「確かに帳簿上の金額はそのくらいあるかもしれないが,それはこれまでの財政投融資などのずさんな経営で跡形も無く食われてしまっているのではないか?そんなゴミの山ならどこのネズミが引いていったっていいじゃないか?それにその金はもともと預かったもんでしょ?自分のものにはならないはずだけど...」
多分皆さんはまだマネタリシステムないし端金準備銀行システム(Fractional Reserve Banking System)というものをご理解ないのかもしれません.銀行は払い戻し準備金を預金総額に比べ極僅かしか用意していません.言い換えれば,「預かったものは自分のもの」つまり,「あなたのものは私のもの」というのが銀行というシステムの本質です.皆さんが一斉に「返してくれ」と言ったときにどういうことが起こるか(私のお金はどこ?→取り付け騒ぎ→パニック→恐慌という流れ)を考えればよく分かると思います.
皆さんが資産を預金や証券などで持つことに嫌気が差して有り金をはたいて金に換えたとします.あなたの手元に金の延べ棒は届くのでしょうか?おそらくよほど良心的な業者で無い限りそのようなことは起こらないでしょう.あなたのところに届くのは一片の預り証です.つまり,金の取引は世界中で行われますが基本的にそれらの取引は名目的なもので現物は動きません.金塊はどこか,たとえばシティの地下金庫に眠っています.それと同様に「郵貯300兆円という金塊」は郵政省の地下金庫から一歩も外に出てはいないのです.「コソ泥」はそれを「運び出す」ことはできません.それができるのは「大ドロボウ」だけです.
どうやってそんなことができるのだろう?地下トンネルを掘るんだろうか?ですか?ご心配なくそれはあなたが心配することじゃありません.今のところ私自身も知らないし,おそらく彼らもまだ知らないはずです.これから考えるのですから(笑).彼らはこの点において天才的な創造力を持っています.たとえば,デリバティブなどという手法があります.これは彼らの発明です.この梃子を使って実物経済の貿易額の何十倍というお金が動きます.基本的には架空のマネーですが,地上に持ち帰って行使することのできる現金にもなります.彼らの目から見ると,.マネーゲームというのはゲームの最中にルールを変更することができるという特殊なゲームです.新生銀行のときに見せた彼らの鮮やかな手口(6兆円の公金を注入された長銀がたった10億円で外資の手に渡り,1兆円の儲けを産むというマジック)を思い出せば,私が何を言っているのかご理解頂けるでしょう.
確かにいかさまですが,完全な真空から有を発生させることはできません.従って,何かポーカーのチップを最終的に裏づけるもの,たとえばゴールドが必要です.,.郵貯200兆円を金塊とみなすことができるというのは,それが架空のものではなく,それなりの国民経済的基礎という裏付けを持っているからです.我々はこそ泥が同じ屋根の下にいることを知っています.つまり,郵貯・簡保資金の運用とその焦げ付き問題です.しかし,これは国内問題です.我々はこの国を少なくとも2千年近くさまざまな問題を解決しながらひとつの経済共同体として運営してきました.それを考えれば国内問題を解決するのに50年100年かかってもいいじゃないか,というのが私のスタンスです.我々貧民はすでに耐える覚悟を決めているのです.そして,その解決はそれほど難しくないはずだと私は考えます.しかし,大ドロボウとその使い走りの魔手は迅速に迫っています.彼らは財政投融資の焦げ付きを隠蔽しそれを私的企業という国民の監視のかからないところに持ち出すことによってゴミの山を洗浄してピン札に変えることを狙っています.これは.究極のマネーロンダリングです.
我々は1990年代のバブルを仕掛けられたものと認識していますが,イラク戦争にたとえると,1989年とも91年とも言われるバブル崩壊はイラクの2003年4月の電撃的なバグダッド進軍に当たり,それから今日に至る10年余のいわゆる不良債権処理・構造改革と呼ばれる強奪プロセスは,米軍統治下で石油基地その他あらゆるイラク国民の資産が不当に略奪される過程に当たると言えるでしょう.「民営化」の「民」は国民の「民」ではありません.それは政府をハイジャックしたある特権階級,つまりドロボウたちの洞窟である「私企業」ないし「持ち株会社」を意味します.
最期の仕上げがこの郵政民有化であることは最初に述べた通りです.このような対米従属を跳ね返し,国民の貴重な財産である郵貯システムを国民経済の根幹に据え直すというのが本論の基調です.予備知識として,まず《共同的資本主義論》新たなる国生みへの手がかりへ を,ざっとで結構ですのでご一読ください.
バブル崩壊を大陰謀と捉える我々の見方はかなり突飛,というより少しおかしいんじゃないの?とお考えでしょうか?しかし,このような見方は必ずしも孤立した狂人の発想ではありません.マレーシアのマハティールはもっと強い表現を使いました.韓国はIMFのやり方を批判しなかったでしょうか?そもそもすべての発端となったBIS規制そのものが大陰謀だったのではないか?このような見方をすると,逆にそのような大陰謀に引っかかって大崩壊したトンマな国は日本だけだったということにはなりませんか?我々はアメリカと戦争をしようとしているのでしょうか?もちろん,違います.謀略※を止めてくれとお願いしているだけです.お互いの主権を尊重しながら平和的に交易することはもちろん可能であり,またそれが唯一の正道ではないでしょうか?もうそろそろ正気に戻ってもよいころです.※謀略は相手がそれに気付いたときにはもはや原理的に(謀略としては)実行不可能です.
本論の基底には「銀行はすでに不要である」という認識があります.銀行が企業への融資によって利益を揚げることがいよいよ難しくなっているという認識は定着しつつあります.つまり銀行機能が寄生的なものでしかない,ということが誰の目にも見えるものになりつつあります.しかし,本論の趣旨を理解するのに,必ずしもこの認識を共有する必要はありません.また,我々は手荒な荒療治を提案するものでもありません.不要なものは順次退場してゆけばよいのです.しかし,銀行の持つ貨幣を循環させる機能は国民経済にとって血液循環に該当するものであり,その機構だけは経済安全保障と国民福祉の観点から確保する必要があります.
郵貯を将来的には国民の貨幣循環の基盤とするという(超)長期的展望のもとに,大胆な機構改革を提案することができます.骨子は以下の通りです.
①全国民に一律に郵便貯金口座を設ける.
②全企業に一律に郵便貯金口座を設ける.
③居留する外国人および外国企業にも一律に郵便貯金口座を設ける.
④これらの郵貯口座には一意の郵貯口座番号を与える.
⑤郵便貯金口座の預金には利息を付けないものとする.
⑥すべての国庫収入・支出は郵便貯金口座を通して行う.
⑦すべての政府系企業の収支は郵便貯金口座を通して行う.
⑧政府の支出に関係するすべての取引は郵便貯金口座を通して行う.
⑨すべての公的年金の入金・出金も同様である.
⑩郵便貯金口座への入金には1%の取り引き税を課する.
⑪郵便貯金口座間の資金の移動も同率の取り引き税を課する.
⑫会計帳票には郵便貯金口座番号の記載を義務付ける.
ポイントは預金金利をゼロ%としている点と,為替取引の手数料を「税」と規定している点である.この仕組みはタバコ税の一部を国鉄赤字の尻拭いに用いるなどの姑息な手口と比較し,国民的な見地からも正当である.大口取引者が取り引き税を嫌って郵貯から退避するのは当面止むを得ない.将来的にすべての歳入・歳出が(基本的に)政府貨幣と取り引き税のみから構成されるようになるとき,日銀券は廃止され,日銀は郵貯システムに吸収されると考えられるが,その時点をここで予想することはできない.(私の言うインフレなき50年という数字をそれに見立てて頂いてもよい.)
郵貯システムは当面国民経済の生活的な部分で主に小口支払いのために使われると考えられる.この意味で,郵貯システムは完全にネットワーク化され,かつインターネットバンキング機能を持つことは当然である.もちろん365日24時間稼動とすべきであり,郵貯カードは少なくともあらゆる小売業・サービス業の店頭で使えるよう整備されるべきである.日本銀行が統括する全銀ネットいわゆるインターバンク※と郵貯システムは互いに独立であるが,相互乗り入れすることは可能であり,また必要である.※今郵貯システムはインターバンクに属していない.
小泉構造改革と称する追いはぎ行為によって,すでに国民資産の相当部分が私企業と呼ばれる泥棒の洞窟に運び込まれてしまったが,少なくとも上記の規定によって,公金の収支実態を把握することはこれまでよりも容易になるはずであり,その分透明性・公正性を確保することができるはずである.また,個人・企業を問わず脱税防止にも一定の効果を発揮するものと考えることができる.
日本銀行が統括するインターバンクの営業日1日のトランザクションはおよそ300兆円程度あり,郵貯の預金額にほぼ相当する.郵貯の一日のトランザクションがどの程度あるのか私は把握していない.この数字は多分国会審議にも出てきたことはないと思う.どなたかご存知の方があったら教えて頂きたい.仮に年間500兆円のトランザクションが発生すると仮定すれば,取り引き税を1%として5兆円が国庫収入となる.このシステムは自動化され基本的にほとんど無人で機能すると考えられるから,ランニングコストゼロで5兆円の税収を得ると言ってもよい.税率1%というのは仮の数字であり,またトランザクションの総量はもっと大きいはずである.
まとめ: 我々の提案する郵貯システムを実現するための技術的問題はほとんど存在しないということを読み取って頂けたでしょうか?実際,当面は必要なプログラムの一部修正を行うだけで既存システムをそのまま運用することができます.郵貯システムを国民経済の大動脈とすることにより,末端まで血の通った行政を実現する可能性が芽生えます.このシステムは「銀行」という不安定な構造要素(取り付け騒ぎ)を持たないので不況に強い,つまり景気変動に耐性を持つ最強のシステムであることが明らかになるでしょう.このとき私たちはもはや銀行が破産するという恫喝を恐れることなく,「どうぞ!」と言うことができるようになります.
補足:郵貯窓口事務を民間に委託するということは当然有り得るし,可能である.要はインフラを国民共有財産として保全するということがもっとも重要な点である.この意味で,国鉄・NTT・道路公団民営化は大きな愚行であったと言わざるを得ない.民間にはサービス業務だけを移管すればよかったのである.郵貯の窓口事務を外部委託するとすれば,本論は郵政民営化論者の主張するところと外形的にはほとんど一致するとさえ考えることができる.つまり,過激な郵政民営論者とさえ,まだ合意の余地は残っているのである.このような重大問題が国民の合意もないまま,完全な私利私欲に左右されるとしたらどこに日本の将来が有り得よう?
初出: http://www.asyura2.com/0505/idletalk14/msg/374.html
投稿者 馬場英治 日時 2005 年 8 月 03 日 23:59:57: dcAX/x0KhXeNE
(回答先: 611F駅通り殺傷事件:その後 投稿者 馬場英治 日時 2005 年 7 月 26 日)
←脱米自立まで,ワンクリック!
郵政民営化の問題を皆さん非常に矮小化して考えていらっしゃるのではないかという感じがします.あまり長くならないようにかいつまんで,郵政民営化の意味,その企てを阻止することの意義,阻止することができたとして,その次にくるものは何か,一体何ができるのか?ということをお話したいと思います.
中曽根売国政権によって実施された:国鉄民営化を手始めとし,あらゆる機構・段階で民営化が進行し,最期に遺された「本丸」がこの郵政民営化であるということは基本的に確認されなくてはなりません※.郵政機能を区分して以下の3つがあるとします.①郵便物集配機能,②郵便貯金機能,③簡易保険機能.本来はこれに④電信電話機能が入っていたのですが,すでに(外国に通じる?)マフィアどもの手中に落ちてしまっていることはご存知の通りです.※中央銀行つまり日銀はすでに当の昔(たとえばP1ないしそれ以前)に彼らに掌握されている.
①の郵便物集配機能は,オートメーション化はある程度可能であるとしても労働集約型の儲けの薄いビジネスです.このビジネスはいくつかの技術的問題をクリアすることができれば,有能な事業家の手にゆだねることも可能であると思います.実際クロネコ大和はそれが可能であることを実証しています.技術的問題とは,たとえば,信書の秘密の尊守,一定時間内に確実に配達されることの保証,僻地への配達をどうするか?などの問題です.インターネットがさらに普及すれば,電子メールが封書郵便物を駆逐するのはほとんど時間の問題です.特定郵便局をどうするかという問題は政策の問題ですので,ここでは触れません.
③の簡易保険機能については,私はあまり知識がありません.私自身は埼玉県民共済に入っています.(必要があってつい最近加入しました.)生命保険システムというのは非常に詐欺的なシステムであるという認識を持っていますが,埼玉県民共済は共済の名に恥じない私の知る限りベストの保険システムです.埼玉県民共済は私企業ですが,掛け金の95%?を加入者に還元しています.従って,少なくとも埼玉県民共済と同水準の国民共済を実現するという前提において簡易保険の民営化について基本的な問題はないと私は考えます.しかし,このシステムは県民共済よりもはるかに規模の大きいものになると考えられますから,国民の監視の下に置く必要があるという意味で,半官半民が適切であるような気がします.ないし,埼玉県民共済規模に分割するという方法もあるかもしれませんが.
こうしてみると,私が泥棒と言っているのは主として②の郵貯の問題であるということがはっきりします.正確な数字はありませんが,郵貯と簡保を合わせて350兆円と言われています.以下では仮に郵貯200兆円として(モデル化して)考えます.1400兆円?と言われる国民金融資産の主要部を為すのがこの郵貯200兆円です.どうも皆さんにはこのところがピンと来ないところがあるようなので,「200兆円の金塊」が郵政省地下金庫に眠っていると考えてください.泥棒たちが盗もうとしているのはこの「金塊」です.こう言われるかもしれません.「確かに帳簿上の金額はそのくらいあるかもしれないが,それはこれまでの財政投融資などのずさんな経営で跡形も無く食われてしまっているのではないか?そんなゴミの山ならどこのネズミが引いていったっていいじゃないか?それにその金はもともと預かったもんでしょ?自分のものにはならないはずだけど...」
多分皆さんはまだマネタリシステムないし端金準備銀行システム(Fractional Reserve Banking System)というものをご理解ないのかもしれません.銀行は払い戻し準備金を預金総額に比べ極僅かしか用意していません.言い換えれば,「預かったものは自分のもの」つまり,「あなたのものは私のもの」というのが銀行というシステムの本質です.皆さんが一斉に「返してくれ」と言ったときにどういうことが起こるか(私のお金はどこ?→取り付け騒ぎ→パニック→恐慌という流れ)を考えればよく分かると思います.
皆さんが資産を預金や証券などで持つことに嫌気が差して有り金をはたいて金に換えたとします.あなたの手元に金の延べ棒は届くのでしょうか?おそらくよほど良心的な業者で無い限りそのようなことは起こらないでしょう.あなたのところに届くのは一片の預り証です.つまり,金の取引は世界中で行われますが基本的にそれらの取引は名目的なもので現物は動きません.金塊はどこか,たとえばシティの地下金庫に眠っています.それと同様に「郵貯300兆円という金塊」は郵政省の地下金庫から一歩も外に出てはいないのです.「コソ泥」はそれを「運び出す」ことはできません.それができるのは「大ドロボウ」だけです.
どうやってそんなことができるのだろう?地下トンネルを掘るんだろうか?ですか?ご心配なくそれはあなたが心配することじゃありません.今のところ私自身も知らないし,おそらく彼らもまだ知らないはずです.これから考えるのですから(笑).彼らはこの点において天才的な創造力を持っています.たとえば,デリバティブなどという手法があります.これは彼らの発明です.この梃子を使って実物経済の貿易額の何十倍というお金が動きます.基本的には架空のマネーですが,地上に持ち帰って行使することのできる現金にもなります.彼らの目から見ると,.マネーゲームというのはゲームの最中にルールを変更することができるという特殊なゲームです.新生銀行のときに見せた彼らの鮮やかな手口(6兆円の公金を注入された長銀がたった10億円で外資の手に渡り,1兆円の儲けを産むというマジック)を思い出せば,私が何を言っているのかご理解頂けるでしょう.
確かにいかさまですが,完全な真空から有を発生させることはできません.従って,何かポーカーのチップを最終的に裏づけるもの,たとえばゴールドが必要です.,.郵貯200兆円を金塊とみなすことができるというのは,それが架空のものではなく,それなりの国民経済的基礎という裏付けを持っているからです.我々はこそ泥が同じ屋根の下にいることを知っています.つまり,郵貯・簡保資金の運用とその焦げ付き問題です.しかし,これは国内問題です.我々はこの国を少なくとも2千年近くさまざまな問題を解決しながらひとつの経済共同体として運営してきました.それを考えれば国内問題を解決するのに50年100年かかってもいいじゃないか,というのが私のスタンスです.我々貧民はすでに耐える覚悟を決めているのです.そして,その解決はそれほど難しくないはずだと私は考えます.しかし,大ドロボウとその使い走りの魔手は迅速に迫っています.彼らは財政投融資の焦げ付きを隠蔽しそれを私的企業という国民の監視のかからないところに持ち出すことによってゴミの山を洗浄してピン札に変えることを狙っています.これは.究極のマネーロンダリングです.
我々は1990年代のバブルを仕掛けられたものと認識していますが,イラク戦争にたとえると,1989年とも91年とも言われるバブル崩壊はイラクの2003年4月の電撃的なバグダッド進軍に当たり,それから今日に至る10年余のいわゆる不良債権処理・構造改革と呼ばれる強奪プロセスは,米軍統治下で石油基地その他あらゆるイラク国民の資産が不当に略奪される過程に当たると言えるでしょう.「民営化」の「民」は国民の「民」ではありません.それは政府をハイジャックしたある特権階級,つまりドロボウたちの洞窟である「私企業」ないし「持ち株会社」を意味します.
最期の仕上げがこの郵政民有化であることは最初に述べた通りです.このような対米従属を跳ね返し,国民の貴重な財産である郵貯システムを国民経済の根幹に据え直すというのが本論の基調です.予備知識として,まず《共同的資本主義論》新たなる国生みへの手がかりへ を,ざっとで結構ですのでご一読ください.
バブル崩壊を大陰謀と捉える我々の見方はかなり突飛,というより少しおかしいんじゃないの?とお考えでしょうか?しかし,このような見方は必ずしも孤立した狂人の発想ではありません.マレーシアのマハティールはもっと強い表現を使いました.韓国はIMFのやり方を批判しなかったでしょうか?そもそもすべての発端となったBIS規制そのものが大陰謀だったのではないか?このような見方をすると,逆にそのような大陰謀に引っかかって大崩壊したトンマな国は日本だけだったということにはなりませんか?我々はアメリカと戦争をしようとしているのでしょうか?もちろん,違います.謀略※を止めてくれとお願いしているだけです.お互いの主権を尊重しながら平和的に交易することはもちろん可能であり,またそれが唯一の正道ではないでしょうか?もうそろそろ正気に戻ってもよいころです.※謀略は相手がそれに気付いたときにはもはや原理的に(謀略としては)実行不可能です.
本論の基底には「銀行はすでに不要である」という認識があります.銀行が企業への融資によって利益を揚げることがいよいよ難しくなっているという認識は定着しつつあります.つまり銀行機能が寄生的なものでしかない,ということが誰の目にも見えるものになりつつあります.しかし,本論の趣旨を理解するのに,必ずしもこの認識を共有する必要はありません.また,我々は手荒な荒療治を提案するものでもありません.不要なものは順次退場してゆけばよいのです.しかし,銀行の持つ貨幣を循環させる機能は国民経済にとって血液循環に該当するものであり,その機構だけは経済安全保障と国民福祉の観点から確保する必要があります.
郵貯を将来的には国民の貨幣循環の基盤とするという(超)長期的展望のもとに,大胆な機構改革を提案することができます.骨子は以下の通りです.
①全国民に一律に郵便貯金口座を設ける.
②全企業に一律に郵便貯金口座を設ける.
③居留する外国人および外国企業にも一律に郵便貯金口座を設ける.
④これらの郵貯口座には一意の郵貯口座番号を与える.
⑤郵便貯金口座の預金には利息を付けないものとする.
⑥すべての国庫収入・支出は郵便貯金口座を通して行う.
⑦すべての政府系企業の収支は郵便貯金口座を通して行う.
⑧政府の支出に関係するすべての取引は郵便貯金口座を通して行う.
⑨すべての公的年金の入金・出金も同様である.
⑩郵便貯金口座への入金には1%の取り引き税を課する.
⑪郵便貯金口座間の資金の移動も同率の取り引き税を課する.
⑫会計帳票には郵便貯金口座番号の記載を義務付ける.
ポイントは預金金利をゼロ%としている点と,為替取引の手数料を「税」と規定している点である.この仕組みはタバコ税の一部を国鉄赤字の尻拭いに用いるなどの姑息な手口と比較し,国民的な見地からも正当である.大口取引者が取り引き税を嫌って郵貯から退避するのは当面止むを得ない.将来的にすべての歳入・歳出が(基本的に)政府貨幣と取り引き税のみから構成されるようになるとき,日銀券は廃止され,日銀は郵貯システムに吸収されると考えられるが,その時点をここで予想することはできない.(私の言うインフレなき50年という数字をそれに見立てて頂いてもよい.)
郵貯システムは当面国民経済の生活的な部分で主に小口支払いのために使われると考えられる.この意味で,郵貯システムは完全にネットワーク化され,かつインターネットバンキング機能を持つことは当然である.もちろん365日24時間稼動とすべきであり,郵貯カードは少なくともあらゆる小売業・サービス業の店頭で使えるよう整備されるべきである.日本銀行が統括する全銀ネットいわゆるインターバンク※と郵貯システムは互いに独立であるが,相互乗り入れすることは可能であり,また必要である.※今郵貯システムはインターバンクに属していない.
小泉構造改革と称する追いはぎ行為によって,すでに国民資産の相当部分が私企業と呼ばれる泥棒の洞窟に運び込まれてしまったが,少なくとも上記の規定によって,公金の収支実態を把握することはこれまでよりも容易になるはずであり,その分透明性・公正性を確保することができるはずである.また,個人・企業を問わず脱税防止にも一定の効果を発揮するものと考えることができる.
日本銀行が統括するインターバンクの営業日1日のトランザクションはおよそ300兆円程度あり,郵貯の預金額にほぼ相当する.郵貯の一日のトランザクションがどの程度あるのか私は把握していない.この数字は多分国会審議にも出てきたことはないと思う.どなたかご存知の方があったら教えて頂きたい.仮に年間500兆円のトランザクションが発生すると仮定すれば,取り引き税を1%として5兆円が国庫収入となる.このシステムは自動化され基本的にほとんど無人で機能すると考えられるから,ランニングコストゼロで5兆円の税収を得ると言ってもよい.税率1%というのは仮の数字であり,またトランザクションの総量はもっと大きいはずである.
まとめ: 我々の提案する郵貯システムを実現するための技術的問題はほとんど存在しないということを読み取って頂けたでしょうか?実際,当面は必要なプログラムの一部修正を行うだけで既存システムをそのまま運用することができます.郵貯システムを国民経済の大動脈とすることにより,末端まで血の通った行政を実現する可能性が芽生えます.このシステムは「銀行」という不安定な構造要素(取り付け騒ぎ)を持たないので不況に強い,つまり景気変動に耐性を持つ最強のシステムであることが明らかになるでしょう.このとき私たちはもはや銀行が破産するという恫喝を恐れることなく,「どうぞ!」と言うことができるようになります.
補足:郵貯窓口事務を民間に委託するということは当然有り得るし,可能である.要はインフラを国民共有財産として保全するということがもっとも重要な点である.この意味で,国鉄・NTT・道路公団民営化は大きな愚行であったと言わざるを得ない.民間にはサービス業務だけを移管すればよかったのである.郵貯の窓口事務を外部委託するとすれば,本論は郵政民営化論者の主張するところと外形的にはほとんど一致するとさえ考えることができる.つまり,過激な郵政民営論者とさえ,まだ合意の余地は残っているのである.このような重大問題が国民の合意もないまま,完全な私利私欲に左右されるとしたらどこに日本の将来が有り得よう?
初出: http://www.asyura2.com/0505/idletalk14/msg/374.html
投稿者 馬場英治 日時 2005 年 8 月 03 日 23:59:57: dcAX/x0KhXeNE
(回答先: 611F駅通り殺傷事件:その後 投稿者 馬場英治 日時 2005 年 7 月 26 日)
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by exod-US
| 2005-08-03 23:59
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