2005年 10月 23日
【グッドニュース】 イラク派遣自衛隊の撤退本決まり,クウェートからイラクへの輸送支援は継続
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共謀罪法案が特別国会で継続審議になったというグッドニュースに引き続き,自衛隊イラク撤退本決まりというビッグニュースをお伝えすることができるのは,実に喜ばしい限りである.すべての謀略は戦争につながる.世界反戦勢力はかつてアメリカ帝国主義者のベトナム戦争をストップさせることに成功した.今またイラク戦争即時停止,占領軍全面撤退への大きなうねりが始まろうとしている.いや,すでにもう始まっている.
10月21日の東京新聞は,イラク派遣自衛隊の撤収が来年の5月にも行われることがほぼ確定したことを伝えた.これは自衛隊のイラク派兵に反対してきたすべての国民にとって,手放しで喜ぶことのできるグッドニュースである.しかし,その反面これまで復興支援の美名で覆われていた日本のイラク戦争支援体制がさらに一層軍事的なものに純化することをも意味している.米国は自衛隊のイラク撤退を容認する条件として,現在航空自衛隊が行っているクウェートからイラクへの輸送支援の継続を要請している.空自はC130輸送機3機をクウェートの米空軍基地に派遣し,これまでに204回の(兵器・兵員を含む)物資の輸送支援を行ってきたが,これは疑いもなく日本国憲法に真っ向から挑戦するイラク戦争への直接の加担であり,軍事行動である.
既報の通り,来年5月にはサマワを警護している英・豪軍の撤退が始まる.韓国もイラク戦争反対の国内世論に押されてすでに派遣3200人の部隊のうち,1000人を撤収させることを決めている.イラク戦争に参戦ないし参加している国は国連加盟191ヶ国中わずか38ヶ国で,全体の2割に満たない.≪属国のビーチガール≫が各国の撤退状況を9月25日にまとめた記事によると,すでにこのうち18ヶ国は撤退完了,撤退中,ないし撤退を予定している.これにその後の日・韓・英・豪の動きを追加すると,イラク戦争参戦国(日本を含む)の6割,38ヶ国中22ヶ国がすでに撤退ないし撤退を準備中ということになり,すでに情勢は大きくイラク戦争終結の方向に動き始めているのが分かる.特に英・豪・韓はこの順にイラク参戦国の上位3ヶ国の位置にあり,すでに多国籍軍の主軸は撤退に向けて動き出した.
英国や米国の諜報機関員,特殊部隊がイラク国内に潜入し,アラブ人に変装して自爆テロなどを偽装した破壊工作を行っている事実も明るみに出た.バスラ州では9月19日爆発物や対戦車砲などを積んだトヨタ製の車両に乗り,アラブ風の衣装を着た2名のSAS(英軍特殊部隊員)がバスラ市内で2名のイラク人警官に発砲し,うち1名が死亡した事件でバスラ警察署に拘置された.このニュースを最初に伝えたのが新華社であり,それをフォローしたのがプラウダであったというのも興味深い.(関連記事1,2)
イラク警察による尋問の様子がビデオ撮影されているというバスラからの実況を伝える報道もあり,危機感を抱いた英軍がその夜このイギリス兵2名を拘置した刑務所をヘリコプターで援護された10台の戦車で襲撃し,刑務所の建物をペチャンコに破壊して被疑者を奪還するという前代未聞の事件に拡大した.(関連記事1,2,3,4,5,6,7,8,9,10)この事件はメディアによって全世界に報道され,これまで噂されてきた「占領軍による偽装テロリズム」が事実であったことがあまねく知れわたることになった.その後も,イラク国内では米軍特殊部隊員がイラク警察に逮捕されるなどの事件が相次いでいる.(関連記事)
これまで占領軍がイラク市民に対して行ってきた残虐行為は数知れないが,インターネット上の有料ポルノサイトがイラク派遣の米軍兵士向けの特別サービスとして,残酷な死体写真と交換にポルノ映像を無料で供給していた事実が分かり摘発されるなどの事件も起きている.戦場にいる兵士らの動機は理解できなくもないが,彼らの行為は「戦死者の遺体は尊厳をもって扱われなければならない」というジュネーブ条約第一議定書の条文に明白に違反する戦争犯罪である.人道に対する罪,戦争犯罪はハーグに常設された国際法廷,国際刑事裁判所(ICC)で裁かれるのが当然であるが,周知のようにブッシュ政権はこのICC規程に署名することを拒否している.参照:【イラク戦争と共謀罪の関係:戦争犯罪人を自認するブッシュはイラクのローマ規程(ICC)加盟を認めない】
10月21日付の≪US フロント・ライン≫によれば,サマワのイスラム教シーア派の反米指導者サドル師派の代表ムハンナド・ガラウィ師が21日の金曜礼拝で,「日本人によるイラク人に対する対日協力工作には自爆攻撃によって報いる」という強い警告を発している.これは決してブラフではないことを心に留めてほしい.実際サマワでは7月,日本友好協会会長だったアンマル・ヒデル氏の経営する宝飾店が爆破され,協会は解散した.すでに自衛隊のキャンプ地が何度も砲撃されていることは周知の事実である.(関連記事1,2,3,4,5,6)
もしも,サマワの自衛隊に本格的な攻撃が仕掛けられ,自衛隊員に「始めての」犠牲者が出るようなことになったら,「自衛隊がいるところが非戦闘地域だ」などとトボケたことを言っていた首相はどのように責任を取ることができるのか?12月に交替で派遣を予定されている部隊はすでに市街戦の実戦訓練(ないしその準備)を行っているというレポートもある.もし,事実そのような対レジスタンス実戦訓練計画が存在するとしたら,それを立案した権力内グループは憲法に明確に違反する政治犯罪者であり,もし共謀罪という犯罪があるのなら,殺人共謀・予備の罪で直ちに捕縛されなくてはならないだろう.この後に及んでなおブッシュの犯罪的戦争に深入りしようとするのは国民に対する反逆以外の何ものでもない.今は一刻も早くイラク派遣自衛隊の完全撤退を具体化するための方策を躊躇なく実施すべき段階である.
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東京新聞 (2005-10-21)
イラク陸自来年5月にも撤収
米、政府に容認伝達
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米政府がイラク南部サマワに派遣されている陸上自衛隊部隊の撤収を容認する意向を日本政府に伝えてきていることが二十日、明らかになった。ただ、複数の日本政府関係者によると、米国は航空自衛隊が行っているクウェートからイラクへの輸送支援は継続することを撤収の条件にしている。
政府は米国の意向を踏まえ、派遣期限が切れる十二月に派遣基本計画を一年延長した上で、二〇〇六年五月にも陸自を撤収させるため調整を本格化させる。
政府はこれまで、サマワで治安を担当するイギリス、オーストラリア両軍が来年五月にも撤収することを検討しているため、この時期に合わせて陸自撤収を検討。英・豪軍がいなければ陸自の活動が困難になる、と米側に伝えてきた。
米国は陸自の活動継続を要望していたが、空自の活動継続を条件に陸自撤収を容認する姿勢に転じた。
イラク復興支援特別措置法に基づき、空自はC130輸送機三機をクウェートに派遣し、比較的治安の良いイラク南部のタリル空港などへ人道物資や兵員の輸送に当たらせている。ただ、残留となると、米国がバグダッドなどまで輸送活動を広げるよう要請してくる可能性もある。
大野功統防衛庁長官は十一日、陸自部隊を交代させるため、第八次イラク復興支援群に派遣命令を出したばかり。熊本、宮崎、鹿児島各県の部隊を中心に五百人規模で編成され、派遣期限切れの十二月十四日をまたいで、サマワで復興支援に当たる。
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US Front Line (2005-10-21 13:34:00 EST)
陸自への自爆攻撃警告 サマワでサドル師派
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陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワでイスラム教シーア派の反米指導者サドル師派の代表を務めるムハンナド・ガラウィ師は21日の金曜礼拝で、「友好と称してイラク人と関係を持とうとする日本人にはわたし自身が自爆攻撃する」と警告した。
サドル師派は、以前から陸自を「占領軍」とみなし撤退を訴えていたが、これまでにない強い表現で敵意をあらわにし陸自撤退を要求、イラク人が日本人と友好関係を持つことも禁じた。
ガラウィ師は集まった数百人の支持者に対し、「日本人の友達がいるといって、自宅に招こうとすることは禁止する」と訓示。「占領軍のメンバーと取引し、友達だといって彼らを自宅に招くやつを数え上げろ」と呼び掛けた。
サマワでは7月、日本友好協会会長だったアンマル・ヒデル氏が、多数のサドル師派を含むデモ隊の一部に「日本人との付き合いをやめなければ店を爆破し、おまえを殺す」と脅迫を受けた後、経営する宝飾店が爆破されていた。事件を受け、協会も解散した。(共同)
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10月21日の東京新聞は,イラク派遣自衛隊の撤収が来年の5月にも行われることがほぼ確定したことを伝えた.これは自衛隊のイラク派兵に反対してきたすべての国民にとって,手放しで喜ぶことのできるグッドニュースである.しかし,その反面これまで復興支援の美名で覆われていた日本のイラク戦争支援体制がさらに一層軍事的なものに純化することをも意味している.米国は自衛隊のイラク撤退を容認する条件として,現在航空自衛隊が行っているクウェートからイラクへの輸送支援の継続を要請している.空自はC130輸送機3機をクウェートの米空軍基地に派遣し,これまでに204回の(兵器・兵員を含む)物資の輸送支援を行ってきたが,これは疑いもなく日本国憲法に真っ向から挑戦するイラク戦争への直接の加担であり,軍事行動である.
既報の通り,来年5月にはサマワを警護している英・豪軍の撤退が始まる.韓国もイラク戦争反対の国内世論に押されてすでに派遣3200人の部隊のうち,1000人を撤収させることを決めている.イラク戦争に参戦ないし参加している国は国連加盟191ヶ国中わずか38ヶ国で,全体の2割に満たない.≪属国のビーチガール≫が各国の撤退状況を9月25日にまとめた記事によると,すでにこのうち18ヶ国は撤退完了,撤退中,ないし撤退を予定している.これにその後の日・韓・英・豪の動きを追加すると,イラク戦争参戦国(日本を含む)の6割,38ヶ国中22ヶ国がすでに撤退ないし撤退を準備中ということになり,すでに情勢は大きくイラク戦争終結の方向に動き始めているのが分かる.特に英・豪・韓はこの順にイラク参戦国の上位3ヶ国の位置にあり,すでに多国籍軍の主軸は撤退に向けて動き出した.
英国や米国の諜報機関員,特殊部隊がイラク国内に潜入し,アラブ人に変装して自爆テロなどを偽装した破壊工作を行っている事実も明るみに出た.バスラ州では9月19日爆発物や対戦車砲などを積んだトヨタ製の車両に乗り,アラブ風の衣装を着た2名のSAS(英軍特殊部隊員)がバスラ市内で2名のイラク人警官に発砲し,うち1名が死亡した事件でバスラ警察署に拘置された.このニュースを最初に伝えたのが新華社であり,それをフォローしたのがプラウダであったというのも興味深い.(関連記事1,2)
イラク警察による尋問の様子がビデオ撮影されているというバスラからの実況を伝える報道もあり,危機感を抱いた英軍がその夜このイギリス兵2名を拘置した刑務所をヘリコプターで援護された10台の戦車で襲撃し,刑務所の建物をペチャンコに破壊して被疑者を奪還するという前代未聞の事件に拡大した.(関連記事1,2,3,4,5,6,7,8,9,10)この事件はメディアによって全世界に報道され,これまで噂されてきた「占領軍による偽装テロリズム」が事実であったことがあまねく知れわたることになった.その後も,イラク国内では米軍特殊部隊員がイラク警察に逮捕されるなどの事件が相次いでいる.(関連記事)
これまで占領軍がイラク市民に対して行ってきた残虐行為は数知れないが,インターネット上の有料ポルノサイトがイラク派遣の米軍兵士向けの特別サービスとして,残酷な死体写真と交換にポルノ映像を無料で供給していた事実が分かり摘発されるなどの事件も起きている.戦場にいる兵士らの動機は理解できなくもないが,彼らの行為は「戦死者の遺体は尊厳をもって扱われなければならない」というジュネーブ条約第一議定書の条文に明白に違反する戦争犯罪である.人道に対する罪,戦争犯罪はハーグに常設された国際法廷,国際刑事裁判所(ICC)で裁かれるのが当然であるが,周知のようにブッシュ政権はこのICC規程に署名することを拒否している.参照:【イラク戦争と共謀罪の関係:戦争犯罪人を自認するブッシュはイラクのローマ規程(ICC)加盟を認めない】
10月21日付の≪US フロント・ライン≫によれば,サマワのイスラム教シーア派の反米指導者サドル師派の代表ムハンナド・ガラウィ師が21日の金曜礼拝で,「日本人によるイラク人に対する対日協力工作には自爆攻撃によって報いる」という強い警告を発している.これは決してブラフではないことを心に留めてほしい.実際サマワでは7月,日本友好協会会長だったアンマル・ヒデル氏の経営する宝飾店が爆破され,協会は解散した.すでに自衛隊のキャンプ地が何度も砲撃されていることは周知の事実である.(関連記事1,2,3,4,5,6)
もしも,サマワの自衛隊に本格的な攻撃が仕掛けられ,自衛隊員に「始めての」犠牲者が出るようなことになったら,「自衛隊がいるところが非戦闘地域だ」などとトボケたことを言っていた首相はどのように責任を取ることができるのか?12月に交替で派遣を予定されている部隊はすでに市街戦の実戦訓練(ないしその準備)を行っているというレポートもある.もし,事実そのような対レジスタンス実戦訓練計画が存在するとしたら,それを立案した権力内グループは憲法に明確に違反する政治犯罪者であり,もし共謀罪という犯罪があるのなら,殺人共謀・予備の罪で直ちに捕縛されなくてはならないだろう.この後に及んでなおブッシュの犯罪的戦争に深入りしようとするのは国民に対する反逆以外の何ものでもない.今は一刻も早くイラク派遣自衛隊の完全撤退を具体化するための方策を躊躇なく実施すべき段階である.
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東京新聞 (2005-10-21)
イラク陸自来年5月にも撤収
米、政府に容認伝達
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米政府がイラク南部サマワに派遣されている陸上自衛隊部隊の撤収を容認する意向を日本政府に伝えてきていることが二十日、明らかになった。ただ、複数の日本政府関係者によると、米国は航空自衛隊が行っているクウェートからイラクへの輸送支援は継続することを撤収の条件にしている。
政府は米国の意向を踏まえ、派遣期限が切れる十二月に派遣基本計画を一年延長した上で、二〇〇六年五月にも陸自を撤収させるため調整を本格化させる。
政府はこれまで、サマワで治安を担当するイギリス、オーストラリア両軍が来年五月にも撤収することを検討しているため、この時期に合わせて陸自撤収を検討。英・豪軍がいなければ陸自の活動が困難になる、と米側に伝えてきた。
米国は陸自の活動継続を要望していたが、空自の活動継続を条件に陸自撤収を容認する姿勢に転じた。
イラク復興支援特別措置法に基づき、空自はC130輸送機三機をクウェートに派遣し、比較的治安の良いイラク南部のタリル空港などへ人道物資や兵員の輸送に当たらせている。ただ、残留となると、米国がバグダッドなどまで輸送活動を広げるよう要請してくる可能性もある。
大野功統防衛庁長官は十一日、陸自部隊を交代させるため、第八次イラク復興支援群に派遣命令を出したばかり。熊本、宮崎、鹿児島各県の部隊を中心に五百人規模で編成され、派遣期限切れの十二月十四日をまたいで、サマワで復興支援に当たる。
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US Front Line (2005-10-21 13:34:00 EST)
陸自への自爆攻撃警告 サマワでサドル師派
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陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワでイスラム教シーア派の反米指導者サドル師派の代表を務めるムハンナド・ガラウィ師は21日の金曜礼拝で、「友好と称してイラク人と関係を持とうとする日本人にはわたし自身が自爆攻撃する」と警告した。
サドル師派は、以前から陸自を「占領軍」とみなし撤退を訴えていたが、これまでにない強い表現で敵意をあらわにし陸自撤退を要求、イラク人が日本人と友好関係を持つことも禁じた。
ガラウィ師は集まった数百人の支持者に対し、「日本人の友達がいるといって、自宅に招こうとすることは禁止する」と訓示。「占領軍のメンバーと取引し、友達だといって彼らを自宅に招くやつを数え上げろ」と呼び掛けた。
サマワでは7月、日本友好協会会長だったアンマル・ヒデル氏が、多数のサドル師派を含むデモ隊の一部に「日本人との付き合いをやめなければ店を爆破し、おまえを殺す」と脅迫を受けた後、経営する宝飾店が爆破されていた。事件を受け、協会も解散した。(共同)
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by exod-US
| 2005-10-23 02:01
| イラク戦争と謀略テロ