2003年 05月 22日
国際共同声明―思想・表現・団結の自由を守りぬこう
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1.今、国際的規模で治安・監視体制が強まっています。近年発覚したアメリカを中心とする諸国が世界中の電波を捉えているエシュロンシステムやインターネット規制を強めるサイバー犯罪条約の調印、さらには「9.11」事件以降進められている包括的テロ防止条約やテロ資金供与防止条約などの動きは、反政府・反資本の運動に対する治安弾圧・市民監視の強化にほかなりません。
こうした中で、2000年11月に国連で採択され、21世紀の犯罪対策のグローバル・スタンダードといわれる国際的(越境)組織犯罪条約が調印され、世界各国で批准が始まっています。しかし2002年12月段階で批准国は26ヵ国、 G8ではカナダだけにしかすぎません。この条約は40か国の批准をえて発効するとされていますが、国際機関・自国政府に訴えて廃止させるべく、是非とも多くの団体・個人に働きかけていただければ幸いです。
2.国際的(越境)組織犯罪条約は、いくつかの重大な人権侵害をもたらす条約で21世紀の人類の未来に大きな禍根を残すものといえます。
第1には、「参加罪」「共謀罪」を導入していることです。捜査当局が「犯罪組織」とみなす団体の行動に参加すること、あるいは親しい人間と相談・合意しただけで罪にするというもので、団体と団体行動を一網打尽にするものです。
第2には、「刑事免責」「司法取引」の導入です。捜査当局・司法当局が被告・被疑者を刑の免責をもって強制的に証言させ、新たに冤罪を捏造するものです。「証人買収罪」などの司法妨害罪の拡大は黙秘権・弁護権を脅かします。
第3には、「おとり捜査・泳がせ捜査」、盗聴など「電子的監視」という「新しい捜査手法」の導入です。警察が犯罪者になりすまし、あるいは犯罪者を泳がせ、一網打尽にするという目的を持ったこれらの捜査手法は、捜査の名目で警察が犯罪を作りだし蔓延させます。それを警察の公式な捜査手法にしようというのです。盗聴法の改悪につながる「サイバー犯罪条約」の批准に向けた動きも具体化してきています。
第4は、「マネーロンダリング」(資金洗浄)の禁止対象の拡大です。マネロンされた資金提供を受け取った弁護士に罰則を与えるだけでなく、通告義務を怠った弁護士・会計士・税理士を警察が逮捕できるようにしていることです。これでは、弁護士・税理士・会計士に、相談を持ち掛けられません。
3.すでに、条約の内容が部分的に施行されている国もあります。例えば参加罪のあるオランダでは、99年の反グローバリズムの国際的な運動に対して、デモに参加しただけで700人を逮捕するという事態が起こっています。共謀罪のあるアメリカやイギリスでは、労働組合などを弾圧する武器に使われています。又、マネロンの通報義務に最高10年の懲役を弁護士に科しているイギリスでは弁護権・防御権が大きく制約されて、正常な弁護士活動ができなくなっています。日本でも緒方議員宅事件にかいま見られたように、国家権力の盗聴は野放図に行われています。
このように、国際的(越境)組織犯罪条約は近代刑法が犯罪の実行行為に対して国家の処罰権を認めてきた範囲を大きく逸脱るものであるばかりか、さらに踏み込んで思想・表現の自由、団結権・団体行動権を無制限に奪うものです。人類が営々と築きあげてきた近代刑法の原則、および団結の力・結社の自由を大きく侵害するもので、到底うけいることのできないものです。
しかもこの条約は「国際的」と銘うって民衆の国際的連帯・共闘関係を切断するばかりか、要件として「国際性」を必要条件とせずに、自国の団体規制を容易にするものです。国内の反政府・反資本などのさまざまな民衆運動・団体を取り締まることが出来るように作られています。
4.日本では今法務省が、国際的(越境)組織犯罪条約の義務規定である条項――①共謀罪、②証人等買収罪、③犯罪収益規制等の拡大、④国外犯の処罰――の4点を軸に、組織的犯罪対策法・刑法を改悪しようとしています。とりわけ共謀罪は実行行為がなくとも4年以上の刑を規定している犯罪を相談したことを罪として最高5年の懲役を科すというもので、目的規定を取り払った点で治安維持法・破防法以上の悪法といえます。私たちは直ちに取りやめるべきことを声明します。そして国際的(越境)組織犯罪条約の批准を阻止する為に、全世界の民衆が力をあわせて発効を阻止できるよう、今後、世界に広めていきたいと思います。
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1.思想・表現・結社の自由を侵害する国際的(越境)組織犯罪条約は憲法違反であり、その批准に反対します。
2.労働運動・市民運動を弾圧し、市民社会の監視・管理を強化する共謀罪の新設に反対します。
【呼びかけ人】
足立昌勝(関東学院大学教授)
吉川経夫(法政大学名誉教授)
斎藤貴男(ジャーナリスト)
佐藤昭夫(早稲田大学名誉教授)
知花昌一(沖縄読谷村議)
土屋公献(元日弁連会長)
藤田 進(東京外国語大学教授)
宮島尚史(元学習院大学教授)
本尾 良(非核・みらいをともに)
山際永三(人権と報道・連絡会)
梁 石 日(作家)
2003年5月22日現在(あいうえお順)
国際的(越境)組織犯罪条約反対の国際共同声明に賛同します
(賛同署名へ)
←脱米自立まで,ワンクリック!
こうした中で、2000年11月に国連で採択され、21世紀の犯罪対策のグローバル・スタンダードといわれる国際的(越境)組織犯罪条約が調印され、世界各国で批准が始まっています。しかし2002年12月段階で批准国は26ヵ国、 G8ではカナダだけにしかすぎません。この条約は40か国の批准をえて発効するとされていますが、国際機関・自国政府に訴えて廃止させるべく、是非とも多くの団体・個人に働きかけていただければ幸いです。
2.国際的(越境)組織犯罪条約は、いくつかの重大な人権侵害をもたらす条約で21世紀の人類の未来に大きな禍根を残すものといえます。
第1には、「参加罪」「共謀罪」を導入していることです。捜査当局が「犯罪組織」とみなす団体の行動に参加すること、あるいは親しい人間と相談・合意しただけで罪にするというもので、団体と団体行動を一網打尽にするものです。
第2には、「刑事免責」「司法取引」の導入です。捜査当局・司法当局が被告・被疑者を刑の免責をもって強制的に証言させ、新たに冤罪を捏造するものです。「証人買収罪」などの司法妨害罪の拡大は黙秘権・弁護権を脅かします。
第3には、「おとり捜査・泳がせ捜査」、盗聴など「電子的監視」という「新しい捜査手法」の導入です。警察が犯罪者になりすまし、あるいは犯罪者を泳がせ、一網打尽にするという目的を持ったこれらの捜査手法は、捜査の名目で警察が犯罪を作りだし蔓延させます。それを警察の公式な捜査手法にしようというのです。盗聴法の改悪につながる「サイバー犯罪条約」の批准に向けた動きも具体化してきています。
第4は、「マネーロンダリング」(資金洗浄)の禁止対象の拡大です。マネロンされた資金提供を受け取った弁護士に罰則を与えるだけでなく、通告義務を怠った弁護士・会計士・税理士を警察が逮捕できるようにしていることです。これでは、弁護士・税理士・会計士に、相談を持ち掛けられません。
3.すでに、条約の内容が部分的に施行されている国もあります。例えば参加罪のあるオランダでは、99年の反グローバリズムの国際的な運動に対して、デモに参加しただけで700人を逮捕するという事態が起こっています。共謀罪のあるアメリカやイギリスでは、労働組合などを弾圧する武器に使われています。又、マネロンの通報義務に最高10年の懲役を弁護士に科しているイギリスでは弁護権・防御権が大きく制約されて、正常な弁護士活動ができなくなっています。日本でも緒方議員宅事件にかいま見られたように、国家権力の盗聴は野放図に行われています。
このように、国際的(越境)組織犯罪条約は近代刑法が犯罪の実行行為に対して国家の処罰権を認めてきた範囲を大きく逸脱るものであるばかりか、さらに踏み込んで思想・表現の自由、団結権・団体行動権を無制限に奪うものです。人類が営々と築きあげてきた近代刑法の原則、および団結の力・結社の自由を大きく侵害するもので、到底うけいることのできないものです。
しかもこの条約は「国際的」と銘うって民衆の国際的連帯・共闘関係を切断するばかりか、要件として「国際性」を必要条件とせずに、自国の団体規制を容易にするものです。国内の反政府・反資本などのさまざまな民衆運動・団体を取り締まることが出来るように作られています。
4.日本では今法務省が、国際的(越境)組織犯罪条約の義務規定である条項――①共謀罪、②証人等買収罪、③犯罪収益規制等の拡大、④国外犯の処罰――の4点を軸に、組織的犯罪対策法・刑法を改悪しようとしています。とりわけ共謀罪は実行行為がなくとも4年以上の刑を規定している犯罪を相談したことを罪として最高5年の懲役を科すというもので、目的規定を取り払った点で治安維持法・破防法以上の悪法といえます。私たちは直ちに取りやめるべきことを声明します。そして国際的(越境)組織犯罪条約の批准を阻止する為に、全世界の民衆が力をあわせて発効を阻止できるよう、今後、世界に広めていきたいと思います。
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1.思想・表現・結社の自由を侵害する国際的(越境)組織犯罪条約は憲法違反であり、その批准に反対します。
2.労働運動・市民運動を弾圧し、市民社会の監視・管理を強化する共謀罪の新設に反対します。
【呼びかけ人】
足立昌勝(関東学院大学教授)
吉川経夫(法政大学名誉教授)
斎藤貴男(ジャーナリスト)
佐藤昭夫(早稲田大学名誉教授)
知花昌一(沖縄読谷村議)
土屋公献(元日弁連会長)
藤田 進(東京外国語大学教授)
宮島尚史(元学習院大学教授)
本尾 良(非核・みらいをともに)
山際永三(人権と報道・連絡会)
梁 石 日(作家)
2003年5月22日現在(あいうえお順)
国際的(越境)組織犯罪条約反対の国際共同声明に賛同します
(賛同署名へ)
←脱米自立まで,ワンクリック!
by exod-US
| 2003-05-22 08:30
| 共謀罪という国際陰謀