2005年 09月 22日
【緊急】 小泉ファッショ政権の暗黒立法,『国民投票法』が上程されようとしている 【シバレイのblog】
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売国小泉政権がアメリカの世界軍事戦略に追随し戦争への道を切り開く憲法改定を実施するために,国民投票法の制定を急いでいるのは知っていたが,国民投票法それ自体は単なる投票のやり方を決めるだけの手続法であり,特別問題になるようなこともないのだろうと思っていた.フリージャーナリスト志葉玲さんのブログで「警告!独裁国家並みの改憲ファシズムがやって来る!!」と題する警告記事を読むまでは.いや,それを読んでもまだきっちりした理解には至らなかった.私が本当にそのことを骨身に沁みて理解したのは,自分自身で法案の全文(特に第80条第2項)を読み下してみてからだった.
シバレイのblog 新イラク取材日記
転載: http://reishiva.exblog.jp/3509092/
警告!独裁国家並みの改憲ファシズムがやって来る!!
衆院議席の3分の2以上、つまり野党や参院を無力化し、どんな法案でも通すことが出来る力を与党が得たことについては、小泉支持層すら「勝ちすぎ」との不安を抱いたようだが(関連情報)、その不安は正に現実のものとなったようだ。
*国民投票法案提出で一致 与党幹事長、特別国会へ この国民投票法案とは、憲法改正(改悪)のための国民投票を実施するための法案だ。憲法9条については、国民の間にも議論が分かれているし、真に民主的にやり方で国民投票が実施され、国民の大多数が改憲を望むこととなったのなら、それはそれで一つの選択だろう。しかし、与党によって今国会にも提出が予定される国民投票法案は、それこそ変な髪形のショーグン様の国のような独裁・軍事政権下の国も顔負けの、民主主義国家として到底容認できない恐るべき法案なのである。
国民投票法案の問題点はいろいろあるのだが(関連情報)、その最も恐るべき特徴は、言論封殺と国民弾圧の徹底ぶりにある。
問題点1:完全なるメディア統制が始まる
法案の第70条では、新聞・雑誌が世論に影響を及ぼす目的で、国民投票に関する報道・評論を掲載することを禁じており、違反すれば、「五年以下の懲役又は禁錮に処する」という大変厳しい罰則が待っている。71条でも、NHKと民法は、国民投票に関する報道・評論で、「虚偽の事項を放送し、又は事実をゆがめて放送する等表現の自由を濫用して国民投票の公正を害してはならない」とある。これでは改憲や国民投票自体について報道機関が国民に判断の材料を与えることは事実上不可能だ。何が「虚偽」であり「事実を歪めて」いるかは当局が判断することなのだから。その一方で、改憲議連の見解では、「マスコミを利用した政府広報は規制の対象外」ときているからタチが悪い。
問題点2:国民の表現の自由に対する大弾圧が始まる
メディア規制に加え、一般市民のデモ・集会・討論会に対する弾圧も法案には盛り込まれている。第80条には「多衆集合して第七十五条又は前条の罪を犯した者は、次の区別に従って処断する」とあり、「首謀者」(要するに主催者)には最高7年の懲役か禁固、一般の参加者も20万円の罰金刑(!)と大変厳しい罰則が用意されている。これらも何が違法行為になるかは当局のサジ加減によるわけだから、デモ・集会・討論会などは一切行えなくなる。あきれたことに、第84条に書かれているように、ビラやポスターまで禁止しようというのだ。
正に法案自体が、憲法19条の「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」、21条の「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」に反している、違憲法案なのだが、残念ながら小泉政権のヒトビトはそんなことは全く意に介さないだろう。そして、法の番人であるハズの司法も政府の暴走にほとんど口を出さない。日本はいよいよ真正の「法死国家」になろうとしている。
民主主義というものを理解しマトモな感覚を持っている人であれば、例え改憲論者であっても、今回の法案の異常さがわかるはずだ。国の最高法規である憲法が、憲法違反の法案によって覆されるのであれば、それは民主主義国家として死を意味する。改憲・護憲・中立etcの立場に関わらず、民主主義そのものを否定するような政府の暴走を国民は許すべきではない。そうでなければ、超管理社会とファシズムへの傾倒というかつての悪夢に再び我々は直面させられることになるかも知れないからだ。
World Peace Nowの自衛隊イラク派遣反対のプラカード。イラク戦争・占領の戦費がかさみ財政赤字が深刻な米国にとって、小泉党が圧勝したことは良いニュースであろう。今後、米軍の任務の一部を自衛隊が肩代わりしてくれるのかも知れないから。
【馬場英治】 筆者の主張に基本的に共感し,同じ危機意識を共有するものであるが,やや誇張に過ぎる部分があるようにも感じる.第80条は多数が集合することを禁止しているのではなく,集合して第75条(国民投票の自由妨害罪),第79条(国民投票事務関係者に対する暴行罪等)を行った場合の処罰について規定しているのであるから,この部分に限れば法案の内容は(量刑の当否は別として)おおむね妥当であるように思われる.しかし,このような一般刑法でも処罰できるような犯罪に対し,首謀者,指揮者,付和随行者などの別をしていかにも騒擾めいた雰囲気を醸し出す記述になっているところに立案者の悪しき意図を読み取ることはできるかもしれない.
また第84条には,「演説、放送、新聞紙、雑誌、ビラ、ポスターその他いかなる方法をもってするを間わず、...までの罪を犯させる目的をもって人を煽動した者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。 」の規定があるが,その対象範囲は第72条(買収罪),第75条(国民投票の自由妨害罪),第78条(投票干渉罪),第79条(国民投票事務関係者に対する暴行罪等),第80条(多衆の国民投票妨害罪),第81条(凶器携帯罪),第82条(投票所等における凶器携帯罪)に限定されているから,この部分に限れば法案の内容はおおむね妥当であるようにも思われる.
しかしながら,このような一般犯罪に該当するような行為に対する扇動罪の構成要件として「演説、放送、新聞紙、雑誌、ビラ、ポスターその他いかなる方法をもってするを間わず」とまで列挙しているところに,立案者の悪しき意図を読み取るべきであるかもしれない.取りようによっては,この筆者はそのような立案者の悪しき意図を周知徹底させるための宣伝係なのではないかという感じさえ受ける.つまり,法案にはそんなことは一言も書いてないにも関わらず,「ビラもポスターもダメ」というデマを吹き込もうとしているのではないか?
この法案の最悪な部分(まだ他にもあるかもしれないが)は第69条(新聞紙又は雑誌の虚偽報道等の禁止),第70条(新聞紙又は雑誌の不法利用等の制限),第71条(放送事業者の虚偽報道等の禁止)の部分である.第70条第3項には,「何人も、国民投票の結果に影響を及ぼす目的をもって新聞紙又は雑誌に対する編集その他経営上の特殊の地位を利用して、当該新聞紙又は雑誌に国民投票に関する報道及び評論を掲載し、又は掲載させることができない。」とある.この規定はほとんど「国民投票に関する(政権側に不利な)記事は全面禁止」と言っているのに等しい.そう聴こえないとしたらよほど耳が遠いのだろう.この稀代まれなる暗黒立法の問題点,とくに表現の自由に関わる致命的な欠陥については,第二東京弁護士会の意見書があるので,熟読して頂きたい.
追記: 第80条には第2項というのがあります.これを見落としていました.これは明らかに予防拘禁に相当します.シバレイさんのおっしゃる通りこの条項を使えば,一切の集会を禁止することが可能になるでしょう.第80条違反で処罰するためには,被疑者がその罪を犯したという事実が必要ですが,解散命令は何の犯罪行為も未だ存在しないとき現場警察隊の長の恣意的な判断により,何の司法的手続きが取られることもなく,つまり令状無しで予防的に発令されます.「前項の罪を犯すため多衆集合し」とありますが,いくらでも拡張解釈可能な条文です.実際,工作員が野次馬として集会に入り込み何かそのようなことを叫んだだけで,それを口実に正当な集会を解散させることさえ可能になってしまいます.これを適用すればすべての反政府活動家を一網打尽に検挙して十分長い期間(2年まで)獄舎に閉じ込めておくことができるようになります.解散命令に従わないときには,公務執行妨害のような難癖を付けられて第75条違反とされる可能性があり,そうなれば集会を開催したというだけで懲役7年を喰らうことになるでしょう.真正のブラックアウトですね.
第80条2 前項の罪を犯すため多衆集合し、権限のある公務員から解散の命令を三回以上受けたにもかかわらず、なお解散しなかったときは、首謀者は二年以下の禁錮に処し、その他の者は二十万円以下の罰金又は科料に処する。
参照リンク:
情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士:憲法改正国民投票法案アップ
【日弁連】憲法改正国民投票案に関する意見書
「憲法改正国民投票法案」の問題点(専修大学教授 隅野隆徳)
憲法改正国民投票法案の白紙撤回を求める日本ペンクラブ声明
憲法改悪に道を開く国民投票法案上程に反対する全労連見解
国民投票法は「暗黒立法」 メディア問題でシンポ
蛇足ながら,今回のようなマスコミ翼賛売国選挙を見てしまうと,メディア統制に関わる条文の不当を訴えることなどほとんど意味を成さない空しい営為であるようにさえ感じられてしまう.逆説的ではあるが,むしろこのような強権的な規定を条文に織り込んだ上で捜査当局に厳正な法の執行を求める方がまだ気が利いているのではないかという気さえしてくる.しかし,腐敗したマスコミの上に汚染した司法・警察を抱える国民は一体どこに訴えることができるのか?
------------------------------------------------------
参考資料: 憲法改正国民投票法案(議連案)抜粋
なお,議連案全文は以下のリンクからアクセスできる.
憲法改正国民投票法案(議連案)全文その1
憲法改正国民投票法案(議連案)全文その2
憲法改正国民投票法案(議連案)全文その3
(新聞紙又は雑誌の虚偽報道等の禁止)
第六十九条 新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌は、国民投票に関する報道及び評論において、虚偽の事項を記載し、又は事実をゆがめて記載する表現の自由を濫用して国民投票の公正を害してはならない。
(新聞紙又は雑誌の不法利用等の制限)
第七十条 何人も、国民投票の結果に影響を及ぼす目的をもって新聞紙又は雑誌の編集その他経営を担当する者に対し、財産上の利益を供与し、又はその供与の申込み若しくは約束をして、当該新聞紙又は雑誌に国民投票に関する報道及び評論を掲載させることができない。
2 新聞紙又は雑誌の編集その他経営を担当する者は、前項の供与を受け、若しくは要求し、又は同項の申込みを承諾して、当該新聞紙又は雑誌に国民投票に関する報道及び評論を掲載することができない。
3 何人も、国民投票の結果に影響を及ぼす目的をもって新聞紙又は雑誌に対する編集その他経営上の特殊の地位を利用して、当該新聞紙又は雑誌に国民投票に関する報道及び評論を掲載し、又は掲載させることができない。
(放送事業者の虚偽報道等の禁止)
第七十一条 日本放送協会又は一般放送事業者は、国民投票に関する報道及び評論において虚偽の事項を放送し、又は事実をゆがめて放送する等表現の自由を濫用して国民投票の公正を害してはならない。
(買収罪)
第七十二条 次に掲げる行為をした者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
一 国民投票の結果に影響を及ぼす目的をもって、投票人に対し、財産上の利益を供与し、又はその供与の申込み若しくは約束をしたとき。
二 前号の行為をさせる目的をもって、国民投票運動をする者に対し、財産上の利益を供与し、若しくは交付し、又はその供与若しくは交付の申込み若しくは約束をしたとき。
三 前二号の供与若しくは交付を受付、若しくは要求し、又はその供与若しくは交付の申込みを承諾したとき。
四 前三号に掲げる行為に関し周旋又は勧誘をしたとき。
2 中央選挙管理会の委員若しくは中央選挙管理会の庶務に従事する総務省の職員、選挙管理委員会の委員若しくは職員、投票管理者、開票管理者、国民投票分会長若しくは国民投票長又は国民投票事務に関係のある国若しくは地方公共団体の公務員が当該国民投票に関し前項の罪を犯したときは、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。公安委員会の委員又は警察官がその関係区域内の国民投票に関し同項の罪を犯したときも、また同様とする。
(新聞紙又は雑誌の不法利用罪)
第七十三条 第七十条第一項又は第二項の規定に違反した者は、五年以下の懲役又は禁錮に処する。
(買収罪等の場合の没収及び追徴)
第七十四条 前二条の場合において収受し、又は交付を受けた財産上の利益は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
(国民投票の自由妨害罪)
第七十五条 国民投票に関し、次に掲げる行為をした者は、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
一 投票人又は国民投票運動をする者に対し暴行若しくは威力を加え又はこれをかどわかしたとき。
二 交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもって国民投票の自由を妨害したとき。
三 投票人若しくは国民投票運動をする者又はその関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の利害関係を利用して投票人又は国民投票運動をする者を威迫したとき。
(投票干渉罪)
第七十八条 投票所又は開票所において、正当な理由がなくて、投票人の投票に干渉し、又は投票の内容を認知する方法を行った者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
2 法令の規定によらないで、投票箱を開き、又は投票箱の投票を取り出した者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
(国民投票事務関係者に対する暴行罪等)
第七十九条 国民投票に関し、次に掲げる行為をした者は、四年以下の懲役又は禁錮に処する。
一 投票管理者、開票管理者、国民投票分会長、国民投票長、立会人又は監視者に対して暴行又は脅迫を加えたとき。
二 投票所、開票所、国民投票分会場又は国民投票会場を暴行又は威力を用いて混乱させたとき。
三 投票、投票箱その他関係書類を抑留し、損ない、又は奪取したとき。
(多衆の国民投票妨害罪)
第八十条 多衆集合して第七十五条又は前条の罪を犯した者は、次の区別に従って処断する。
一 首謀者は、一年以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。
二 他人を指揮し、又は他人に率先して勢いを助けた者は、六月以上五年以下の懲役又は禁錮に処する。
三 付和随行した者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。
2 前項の罪を犯すため多衆集合し、権限のある公務員から解散の命令を三回以上受けたにもかかわらず、なお解散しなかったときは、首謀者は二年以下の禁錮に処し、その他の者は二十万円以下の罰金又は科料に処する。
(凶器携帯罪)
第八十一条 国民投票に関し、銃砲、刀剣、こん棒その他人を殺傷するに足りる物件を携帯した者は、二年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
2 権限のある警察官は、必要と認める場合においては、前項の物件を領置することができる。
(投票所等における凶器携帯罪)
第八十二条 前条第一項の物を携帯して投票所、開票所、国民投票分会場又は国民投票会場に入った者は、三年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
(煽動罪)
第八十四条 演説、放送、新聞紙、雑誌、ビラ、ポスターその他いかなる方法をもってするを間わず、第七十二条、第七十五条又は第七十八条から第八十二条までの罪を犯させる目的をもって人を煽動した者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
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シバレイのblog 新イラク取材日記
転載: http://reishiva.exblog.jp/3509092/
警告!独裁国家並みの改憲ファシズムがやって来る!!
衆院議席の3分の2以上、つまり野党や参院を無力化し、どんな法案でも通すことが出来る力を与党が得たことについては、小泉支持層すら「勝ちすぎ」との不安を抱いたようだが(関連情報)、その不安は正に現実のものとなったようだ。
*国民投票法案提出で一致 与党幹事長、特別国会へ この国民投票法案とは、憲法改正(改悪)のための国民投票を実施するための法案だ。憲法9条については、国民の間にも議論が分かれているし、真に民主的にやり方で国民投票が実施され、国民の大多数が改憲を望むこととなったのなら、それはそれで一つの選択だろう。しかし、与党によって今国会にも提出が予定される国民投票法案は、それこそ変な髪形のショーグン様の国のような独裁・軍事政権下の国も顔負けの、民主主義国家として到底容認できない恐るべき法案なのである。
国民投票法案の問題点はいろいろあるのだが(関連情報)、その最も恐るべき特徴は、言論封殺と国民弾圧の徹底ぶりにある。
問題点1:完全なるメディア統制が始まる
法案の第70条では、新聞・雑誌が世論に影響を及ぼす目的で、国民投票に関する報道・評論を掲載することを禁じており、違反すれば、「五年以下の懲役又は禁錮に処する」という大変厳しい罰則が待っている。71条でも、NHKと民法は、国民投票に関する報道・評論で、「虚偽の事項を放送し、又は事実をゆがめて放送する等表現の自由を濫用して国民投票の公正を害してはならない」とある。これでは改憲や国民投票自体について報道機関が国民に判断の材料を与えることは事実上不可能だ。何が「虚偽」であり「事実を歪めて」いるかは当局が判断することなのだから。その一方で、改憲議連の見解では、「マスコミを利用した政府広報は規制の対象外」ときているからタチが悪い。
問題点2:国民の表現の自由に対する大弾圧が始まる
メディア規制に加え、一般市民のデモ・集会・討論会に対する弾圧も法案には盛り込まれている。第80条には「多衆集合して第七十五条又は前条の罪を犯した者は、次の区別に従って処断する」とあり、「首謀者」(要するに主催者)には最高7年の懲役か禁固、一般の参加者も20万円の罰金刑(!)と大変厳しい罰則が用意されている。これらも何が違法行為になるかは当局のサジ加減によるわけだから、デモ・集会・討論会などは一切行えなくなる。あきれたことに、第84条に書かれているように、ビラやポスターまで禁止しようというのだ。
正に法案自体が、憲法19条の「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」、21条の「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」に反している、違憲法案なのだが、残念ながら小泉政権のヒトビトはそんなことは全く意に介さないだろう。そして、法の番人であるハズの司法も政府の暴走にほとんど口を出さない。日本はいよいよ真正の「法死国家」になろうとしている。
民主主義というものを理解しマトモな感覚を持っている人であれば、例え改憲論者であっても、今回の法案の異常さがわかるはずだ。国の最高法規である憲法が、憲法違反の法案によって覆されるのであれば、それは民主主義国家として死を意味する。改憲・護憲・中立etcの立場に関わらず、民主主義そのものを否定するような政府の暴走を国民は許すべきではない。そうでなければ、超管理社会とファシズムへの傾倒というかつての悪夢に再び我々は直面させられることになるかも知れないからだ。
World Peace Nowの自衛隊イラク派遣反対のプラカード。イラク戦争・占領の戦費がかさみ財政赤字が深刻な米国にとって、小泉党が圧勝したことは良いニュースであろう。今後、米軍の任務の一部を自衛隊が肩代わりしてくれるのかも知れないから。
【馬場英治】 筆者の主張に基本的に共感し,同じ危機意識を共有するものであるが,やや誇張に過ぎる部分があるようにも感じる.第80条は多数が集合することを禁止しているのではなく,集合して第75条(国民投票の自由妨害罪),第79条(国民投票事務関係者に対する暴行罪等)を行った場合の処罰について規定しているのであるから,この部分に限れば法案の内容は(量刑の当否は別として)おおむね妥当であるように思われる.しかし,このような一般刑法でも処罰できるような犯罪に対し,首謀者,指揮者,付和随行者などの別をしていかにも騒擾めいた雰囲気を醸し出す記述になっているところに立案者の悪しき意図を読み取ることはできるかもしれない.
また第84条には,「演説、放送、新聞紙、雑誌、ビラ、ポスターその他いかなる方法をもってするを間わず、...までの罪を犯させる目的をもって人を煽動した者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。 」の規定があるが,その対象範囲は第72条(買収罪),第75条(国民投票の自由妨害罪),第78条(投票干渉罪),第79条(国民投票事務関係者に対する暴行罪等),第80条(多衆の国民投票妨害罪),第81条(凶器携帯罪),第82条(投票所等における凶器携帯罪)に限定されているから,この部分に限れば法案の内容はおおむね妥当であるようにも思われる.
しかしながら,このような一般犯罪に該当するような行為に対する扇動罪の構成要件として「演説、放送、新聞紙、雑誌、ビラ、ポスターその他いかなる方法をもってするを間わず」とまで列挙しているところに,立案者の悪しき意図を読み取るべきであるかもしれない.取りようによっては,この筆者はそのような立案者の悪しき意図を周知徹底させるための宣伝係なのではないかという感じさえ受ける.つまり,法案にはそんなことは一言も書いてないにも関わらず,「ビラもポスターもダメ」というデマを吹き込もうとしているのではないか?
この法案の最悪な部分(まだ他にもあるかもしれないが)は第69条(新聞紙又は雑誌の虚偽報道等の禁止),第70条(新聞紙又は雑誌の不法利用等の制限),第71条(放送事業者の虚偽報道等の禁止)の部分である.第70条第3項には,「何人も、国民投票の結果に影響を及ぼす目的をもって新聞紙又は雑誌に対する編集その他経営上の特殊の地位を利用して、当該新聞紙又は雑誌に国民投票に関する報道及び評論を掲載し、又は掲載させることができない。」とある.この規定はほとんど「国民投票に関する(政権側に不利な)記事は全面禁止」と言っているのに等しい.そう聴こえないとしたらよほど耳が遠いのだろう.この稀代まれなる暗黒立法の問題点,とくに表現の自由に関わる致命的な欠陥については,第二東京弁護士会の意見書があるので,熟読して頂きたい.
追記: 第80条には第2項というのがあります.これを見落としていました.これは明らかに予防拘禁に相当します.シバレイさんのおっしゃる通りこの条項を使えば,一切の集会を禁止することが可能になるでしょう.第80条違反で処罰するためには,被疑者がその罪を犯したという事実が必要ですが,解散命令は何の犯罪行為も未だ存在しないとき現場警察隊の長の恣意的な判断により,何の司法的手続きが取られることもなく,つまり令状無しで予防的に発令されます.「前項の罪を犯すため多衆集合し」とありますが,いくらでも拡張解釈可能な条文です.実際,工作員が野次馬として集会に入り込み何かそのようなことを叫んだだけで,それを口実に正当な集会を解散させることさえ可能になってしまいます.これを適用すればすべての反政府活動家を一網打尽に検挙して十分長い期間(2年まで)獄舎に閉じ込めておくことができるようになります.解散命令に従わないときには,公務執行妨害のような難癖を付けられて第75条違反とされる可能性があり,そうなれば集会を開催したというだけで懲役7年を喰らうことになるでしょう.真正のブラックアウトですね.
第80条2 前項の罪を犯すため多衆集合し、権限のある公務員から解散の命令を三回以上受けたにもかかわらず、なお解散しなかったときは、首謀者は二年以下の禁錮に処し、その他の者は二十万円以下の罰金又は科料に処する。
参照リンク:
情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士:憲法改正国民投票法案アップ
【日弁連】憲法改正国民投票案に関する意見書
「憲法改正国民投票法案」の問題点(専修大学教授 隅野隆徳)
憲法改正国民投票法案の白紙撤回を求める日本ペンクラブ声明
憲法改悪に道を開く国民投票法案上程に反対する全労連見解
国民投票法は「暗黒立法」 メディア問題でシンポ
蛇足ながら,今回のようなマスコミ翼賛売国選挙を見てしまうと,メディア統制に関わる条文の不当を訴えることなどほとんど意味を成さない空しい営為であるようにさえ感じられてしまう.逆説的ではあるが,むしろこのような強権的な規定を条文に織り込んだ上で捜査当局に厳正な法の執行を求める方がまだ気が利いているのではないかという気さえしてくる.しかし,腐敗したマスコミの上に汚染した司法・警察を抱える国民は一体どこに訴えることができるのか?
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参考資料: 憲法改正国民投票法案(議連案)抜粋
なお,議連案全文は以下のリンクからアクセスできる.
憲法改正国民投票法案(議連案)全文その1
憲法改正国民投票法案(議連案)全文その2
憲法改正国民投票法案(議連案)全文その3
(新聞紙又は雑誌の虚偽報道等の禁止)
第六十九条 新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌は、国民投票に関する報道及び評論において、虚偽の事項を記載し、又は事実をゆがめて記載する表現の自由を濫用して国民投票の公正を害してはならない。
(新聞紙又は雑誌の不法利用等の制限)
第七十条 何人も、国民投票の結果に影響を及ぼす目的をもって新聞紙又は雑誌の編集その他経営を担当する者に対し、財産上の利益を供与し、又はその供与の申込み若しくは約束をして、当該新聞紙又は雑誌に国民投票に関する報道及び評論を掲載させることができない。
2 新聞紙又は雑誌の編集その他経営を担当する者は、前項の供与を受け、若しくは要求し、又は同項の申込みを承諾して、当該新聞紙又は雑誌に国民投票に関する報道及び評論を掲載することができない。
3 何人も、国民投票の結果に影響を及ぼす目的をもって新聞紙又は雑誌に対する編集その他経営上の特殊の地位を利用して、当該新聞紙又は雑誌に国民投票に関する報道及び評論を掲載し、又は掲載させることができない。
(放送事業者の虚偽報道等の禁止)
第七十一条 日本放送協会又は一般放送事業者は、国民投票に関する報道及び評論において虚偽の事項を放送し、又は事実をゆがめて放送する等表現の自由を濫用して国民投票の公正を害してはならない。
(買収罪)
第七十二条 次に掲げる行為をした者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
一 国民投票の結果に影響を及ぼす目的をもって、投票人に対し、財産上の利益を供与し、又はその供与の申込み若しくは約束をしたとき。
二 前号の行為をさせる目的をもって、国民投票運動をする者に対し、財産上の利益を供与し、若しくは交付し、又はその供与若しくは交付の申込み若しくは約束をしたとき。
三 前二号の供与若しくは交付を受付、若しくは要求し、又はその供与若しくは交付の申込みを承諾したとき。
四 前三号に掲げる行為に関し周旋又は勧誘をしたとき。
2 中央選挙管理会の委員若しくは中央選挙管理会の庶務に従事する総務省の職員、選挙管理委員会の委員若しくは職員、投票管理者、開票管理者、国民投票分会長若しくは国民投票長又は国民投票事務に関係のある国若しくは地方公共団体の公務員が当該国民投票に関し前項の罪を犯したときは、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。公安委員会の委員又は警察官がその関係区域内の国民投票に関し同項の罪を犯したときも、また同様とする。
(新聞紙又は雑誌の不法利用罪)
第七十三条 第七十条第一項又は第二項の規定に違反した者は、五年以下の懲役又は禁錮に処する。
(買収罪等の場合の没収及び追徴)
第七十四条 前二条の場合において収受し、又は交付を受けた財産上の利益は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
(国民投票の自由妨害罪)
第七十五条 国民投票に関し、次に掲げる行為をした者は、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
一 投票人又は国民投票運動をする者に対し暴行若しくは威力を加え又はこれをかどわかしたとき。
二 交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもって国民投票の自由を妨害したとき。
三 投票人若しくは国民投票運動をする者又はその関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の利害関係を利用して投票人又は国民投票運動をする者を威迫したとき。
(投票干渉罪)
第七十八条 投票所又は開票所において、正当な理由がなくて、投票人の投票に干渉し、又は投票の内容を認知する方法を行った者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
2 法令の規定によらないで、投票箱を開き、又は投票箱の投票を取り出した者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
(国民投票事務関係者に対する暴行罪等)
第七十九条 国民投票に関し、次に掲げる行為をした者は、四年以下の懲役又は禁錮に処する。
一 投票管理者、開票管理者、国民投票分会長、国民投票長、立会人又は監視者に対して暴行又は脅迫を加えたとき。
二 投票所、開票所、国民投票分会場又は国民投票会場を暴行又は威力を用いて混乱させたとき。
三 投票、投票箱その他関係書類を抑留し、損ない、又は奪取したとき。
(多衆の国民投票妨害罪)
第八十条 多衆集合して第七十五条又は前条の罪を犯した者は、次の区別に従って処断する。
一 首謀者は、一年以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。
二 他人を指揮し、又は他人に率先して勢いを助けた者は、六月以上五年以下の懲役又は禁錮に処する。
三 付和随行した者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。
2 前項の罪を犯すため多衆集合し、権限のある公務員から解散の命令を三回以上受けたにもかかわらず、なお解散しなかったときは、首謀者は二年以下の禁錮に処し、その他の者は二十万円以下の罰金又は科料に処する。
(凶器携帯罪)
第八十一条 国民投票に関し、銃砲、刀剣、こん棒その他人を殺傷するに足りる物件を携帯した者は、二年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
2 権限のある警察官は、必要と認める場合においては、前項の物件を領置することができる。
(投票所等における凶器携帯罪)
第八十二条 前条第一項の物を携帯して投票所、開票所、国民投票分会場又は国民投票会場に入った者は、三年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
(煽動罪)
第八十四条 演説、放送、新聞紙、雑誌、ビラ、ポスターその他いかなる方法をもってするを間わず、第七十二条、第七十五条又は第七十八条から第八十二条までの罪を犯させる目的をもって人を煽動した者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
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by exod-US
| 2005-09-22 15:28
| エクソダス2005始動宣言